研究課題/領域番号 |
25380749
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (10389702)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 里親支援 / 里親ソーシャルワーク / 社会的養護 / 里親制度 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州において以下の3本のインタビュー調査を実施した。(1)里親/施設等の社会的養護出身者で活動する当事者支援団体Federation of BC Youth in Care Network(以下、FBCYCN)におけるインタビュー調査、(2)MCFD(Ministry of Children & Families :日本の児童相談所に該当する機関)の里親ソーシャルワーカーを対象としたインタビュー調査、(3)BCFFPA(BC federation of Foster Parent Association:日本の家庭養護促進協会に該当する機関)の里親ソーシャルワーカーを対象としたインタビュー調査。 上記3つの調査結果から、主に以下の内容が明らかになった。(1)里親認定前研修の時間数は日本とBC州とでほとんど変わらないが、認定後、養育委託後の義務研修数については、カナダBC州は日本よりも倍以上多いこと、(2)里親レベルシステムが導入されている。里親自身の希望、里親としての経験等からレベル分けされており、レベルに応じた里子が委託されることになっている。これによって的確なマッチングや、不調ケースの回避を目指しているとのことである、(3)里親家庭で育った子どもは27歳くらいまで行政の支援を受けることができる。それ以降は、社会的養護のもとで暮らす子どもの支援者として活動することが期待されており、持続可能で息の長い「当事者支援ネットワーク」をカナダ全域で展開できるよう行政がバックアップしている。 これらの結果を踏まえ、里親アセスメントツールの開発や里親レベルシステムの提案、委託解除後の支援ネットワーク構築等の提案を行っていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に産休・育休を取得したため、前年度までの段階では当初の計画よりも遅れていたが、平成28年度、カナダ視察を予定通り実施できたことに加え、日本においても里親へのグループインタビュー等を実施することができ、最終年度である平成29年度に、日本における里親支援体制の構築のあり方や、里親ソーシャルワークの体系化に向けた一定の提言をするために必要な情報やデータを十分に入手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は以下の研究課題に取り組む予定である。 (1)日本における里親ソーシャルワークの体系化に向けた論点整理 (2)里親子マッチング時に活用できる「アセスメントシート」の開発 (3)里親委託フェーズごとの支援ニーズやソーシャルワーク展開過程の考察
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に産休・育休を取得したため、当初の研究計画よりも1年延びており、次年度に研究費を繰り越して執行する必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
養育里親および児相の里親担当ワーカーへのインタビュー調査に活用する。
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