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2015 年度 実績報告書

婦人保護施設の支援における「ケアとコントロール」機能と 支援者の倫理的ジレンマ

研究課題

研究課題/領域番号 25380750
研究機関大阪府立大学

研究代表者

児島 亜紀子  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40298401)

研究分担者 松田 博幸  大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30288500)
山中 京子  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (50336814)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードソーシャルワーク / ジェンダー / 婦人保護施設 / ケア / コントロール
研究実績の概要

平成27年度は、インタビューの分析を引き続き行い、本研究の目的である「婦人保護施設の支援者たちによる『ケア(支援)』と『コントロール』 の実相の解明および『ケア』と『コントロール』と支援者のジレンマとの関係の明確化」に挑んだ。聞き取りを実施した施設には、売春関連事案で入所した利用者がすでにほとんどいなかったため、いわゆる「要保護女子」にかかわる「ケア(支援)」と「コントロール(売春防止法の文脈における保護更生)」についての語りを得ることはできなかった。しかしながら、性風俗で働く女性たちが当該施設を利用していたため、支援者に内面化されたジェンダー規範や、かかる規範を基盤として展開されるソーシャルワークにおける「ケア」と「コントロール」の実態を考察することができた。インタビューでは、従来の女性福祉関係者のような、性風俗を生業とする女性たちへのネガティブな態度表明がなされることはなく、「(性風俗で働くことは)生きるためには仕方ない」という受容的な語りが得られた。支援者たちは、性風俗産業で働く女性たちに対しては共感的であったが、反面、かかる労働は「(当事者に)解離性障害を起こす」ほどきついものであるとも認識されており、早期の離脱が好ましいという語りに見られるように「仕方がないが望ましくはない」ものとして捉えられていた。支援者にジレンマを生じさせるのは、性風俗で働く女性たちのなかでも、当該施設の利用者に多い知的障害女性に対する支援をめぐるものであった。知的障害女性が、女性とは「従順」であり、「経済的に男性に依存する存在」であることを当然視し、伝統的な性役割分業を肯定していることに対し、彼女らが性別役割分業を遂行できるようにケア(支援)しつつ、コントロール(男女は対等であることを啓蒙)することの両立は困難であるという支援者の悩みが表出された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 図書 (2件)

  • [図書] ソーシャルワークの倫理と価値2016

    • 著者名/発表者名
      サラ・バンクス(著)、児島亜紀子(他監訳)
    • 総ページ数
      321
    • 出版者
      法律文化社
  • [図書] 社会福祉実践における主体性を尊重した対等な関わりは可能か2015

    • 著者名/発表者名
      児島亜紀子(編)
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2017-01-06  

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