研究課題/領域番号 |
25380751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
末弘 美樹 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (50389095)
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研究分担者 |
横山 正子 神戸女子大学, 社会福祉学部, 教授 (70368562)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日尼経済連携協定(日尼EPA) / インドネシア / e-Learning型学習 / 英語の役割 / 介護福祉士国家試験 / 外国人介護福祉士受入れ / ICT情報通信技術) |
研究概要 |
厚生労働省外国人雇用対策課によると、来日した看護師と介護福祉士の候補者は計1562人であった。そして427人が試験に合格できないなどの理由で雇用契約を終え、その多くは帰国した。09年度の来日者数と比べると、いまや3分の1である。本研究の大目標は、外国人介護福祉士国家試験の合格率を向上させるため、e-Learning型教材の提供と運営である。しかし連携協定の安定化をはかるには、試験の合格者数を上げると同時に、来日希望者の数も十分に確保する必要がある。 初年度の今年は、①看護師・介護福祉士候補者の受入れに関する日尼経済連携協定についての現状についてナショナルボードにインタビューを行い、また調査協力校である看護学校を訪問し、e-Learning型教材の説明を行った。さらにバリ島で初となる日本人向けの介護施設も見学した。今回の現状調査により日尼EPAの温度差が明らかとなった。EPA締結から外国人介護福祉士候補者の受け入れについては前進しているように思えたが、正しい情報を正確に伝えるという原点に立ち返ることとなった。②また、「介護」という領域を持たないインドネシア社会に対し、介護の概念とその範疇、日本の介護制度、そして高齢者が急増するインドネシア社会における理想となる大学レベルでの介護教育について、ウダヤナ大学看護学部の学生を対象に「Proposal for a Profession Care Worker Education of University in Indonesia」という題目でレクチャーを行い、その後様々な質疑に対応した。③そして、e-Learning型教材作成のための一環として、調査協力校の看護学生に、介護福祉士国家試験を母語であるインドネシア語と英語で受けてもらった。これらの結果についてはAsiaTEFL2013で口頭発表した。論文については投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の評価の理由は、①計画通りに、ナショナルボードへのインタビューの他に、調査協力校への調査が実施できていること。②またe-Learning教材のマニュアルが完成していることが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
①日尼経済連携協定の安定化を目的に、科研研究チームとしてインドネシア島嶼部の関係者を対象に、看護師および介護福祉士の受入れについての正確な情報を提供する。 ②来日希望者の数の確保と国家試験合格者数の向上を目的に、来日前に介護福祉士国家試験についてある程度の知識を持ってもらい、さらに事前学習を可能にするe-Learning教材を紹介し、学習の取り組みを促す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の調査で、インドネシアのような多島海国家では、島嶼部まで日尼EPAによる外国人介護福祉士候補者の受け入れに関する情報が十分に行き届いていないことが明らかとなった。また調査協力先の看護学校および看護大学においても学部長レベルの関係者及び対象となる学生全員が知らなかった。しかし看護学生や現場の看護師たちは、この制度に非常に興味を示しており、学生対象に説明会を開催してほしいとの強い要求があった。必要とされる情報が正確に流布されれば、一定の数の来日者の確保が可能である。そのため、来年度は島嶼部のひとつであるバリ島でシンポジウムを開催する予定をしている。その際、EPAに関わる介養協、インドネシア介護士を受け入れている介護施設長と教育担当者、そこで働くインドネシア介護福祉士(国家試験合格者)などをシンポジストとする予定である。そのため彼らの渡航費を確保するために今年度分を節約し、来年度分に回した。 EPAに関わる介養協、インドネシア介護士を受け入れている介護施設長と教育担当者、そこで働くインドネシア介護福祉士(国家試験合格者)などをシンポジストに迎え、島嶼部のひとつであるバリ島で日尼EPAによる介護福祉士受入れに関するシンポジウムを開催する。シンポジストの渡航費として使用する予定。
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