研究課題/領域番号 |
25380752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
都留 民子 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (00236952)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 貧困 / 失業 / 不安定雇用 / 扶助 / アクティベーション / フランス |
研究概要 |
1)リーマンショック・ヨーロッパ金融危機後の失業および不安定雇用の動向と、失業・貧困対策における受給者動向を把握した。 2)経済給付におけるアクティベーション策をめぐる論争の把握を行った(とくに積極的連帯所得(RSA)制度における「就労手当」、失業保険における個別支援について)。RSA評価の最終報告書や、「就労手当」の見直し提言文書、失業給付組織・全国理事会内での対立見解などを分析した。 3)オランド大統領就任(2012年)後の社会政策の特質の分析に着手した。主な対象施策は「貧困に抗し社会的包摂の為の多年計画」と「雇用安定化法」である。社会党政権は、以前の右派政権と異なり、明確な新自由主義的傾向は示しておらず、失業者および貧困者の「名誉回復」と彼らの持つ「正当な権利」の再構築をうたっている。ただし、4)のインタビューを通じて、新施策は財政措置の不明確な「アドバルーン」的施策が多々ある、対貧困施策はグローバルなものではなく、効果という意味で「大会の中の1滴」という批判も把握できた。 4)9月~10月での現地調査において、研究者(J.RigaudiatおよびM.Angottiなど)および関連団体(全国保健福祉団体連合:uniopss、職業紹介所、失業給付組織:UNEDIC全国理事、失業者支援組織SNC、失業者団体Mncpなど)との交流・インタビューにおいて、現行政策への見解(施策の変容と課題)、(各団体の)行動予定を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
失業保険・扶助のアクティベーション策に関する見解を整理でき、大きな政策動向のなかでの支援施策・活動の位置づけも明確にさせてきた。 現地調査では主要な組織・団体とも交流・インタビューでき、社会政策(雇用・失業対策と貧困対策)をめぐる見解・対立・攻防も整理できた。 政策の背景にある思想、および内実(実際)の吟味の柱を明確にする課題が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
1)「貧困に抗し社会的包摂の為の多年計画」と「雇用安定化法」について、具体策の検討を行いたい。制度運営の行政資料の取得とともに、前年度に引き続き利害の対立する諸組織・団体の見解と行動に注意していく(現地におけるインタビュー)。 2)アクティベーション策の表象ともいうべき「就労手当」(扶助)の再編成と、現時点で失業削減・就労支援策の中心である「国庫補助」の動向と効果について研究する。 3)失業者・貧困者の「声」を収集する。今年度は失業率が20%を超える青年層の団体に着目し、インタビューを行い、そこから個人も紹介してもらう。 現在のところ調査団体の選定、方法についても格段の困難はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の購入が間に合わなかったため。 次年度に予定物品・ファイルを購入する。 インタビュー結果の整理に使用する。
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