研究課題/領域番号 |
25380755
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
八重樫 牧子 福山市立大学, 教育学部, 教授 (80069137)
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研究分担者 |
松宮 透高 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (10341158)
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (30582382)
高月 教恵 福山市立大学, 教育学部, 教授 (40270011)
西村 いづみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (90405522)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | こどもの里 / 子ども夜まわり / 児童館 / 体験学習 / エンパワメント / 子育ち支援 / 地域ネットワーク |
研究実績の概要 |
釜ヶ崎の「こどもの里」(無認可児童館)の実践の一つである「子ども夜まわり」に関する文献研究を行い,さらに,昨年度参加した「子ども夜まわり」の参与観察や参加者へのインタビュー調査などのフィールドワークの結果について分析・考察を行った.2013年度の「子ども夜まわり」は2014年1月~3月の土曜日(1月11日, 1月18日, 1月25日, 2月1日, 2月15日, 2月11日, 3月1日, 3月8日)に実施されたが,全8回中1月18日を除いた7回の学習会と「子ども夜まわり」に参加した.3月16日に「2013年度協友会越冬報告集会」が開催されたが,「こどもの里」の子どもたちも報告を行ったので,これにも参加した.また,5月5日に「こどもの里」34周年パーティーが開催されたので,その準備・片づけも含め行事に参加した.翌日の5月6日に「こどもの里」館長のヒヤリング調査も行った.なお,2014年度の「子ども夜まわり」にも全8回中6回参加した. その結果,以下のことが明らかになった.(1)「子ども夜まわり」は体験学習であり,深い共感の中で野宿者を理解し,子ども自身が変わり成長すること,(2)意見表明権の行使としての「子ども夜まわり」や学習会の「分ち合い」は,子どもたちが自信を回復し,自尊感情を育むことになる.このように「子ども夜まわり」に参加した子どもたちは,子どもや大人や野宿者との生き生きとした出会いを通し,エンパワメントされあう関係性を生み出している. なお,この成果は,第15回日本子ども家庭福祉学会全国大会(新潟県立大学,2014.6.8)において発表し,『福山市立大学教育学部紀要』第3号(2015.3,pp.135-141)に掲載した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「こどもの里」の重要な実践の一つである「子ども夜まわり」についてフィールドワークを実施し,その成果をまとめることができた. 「子ども夜まわり」を中心に調査研究を行ったので,児童館全般の文献研究と,「こどもの里」の支援者へのインタビュー調査が実施できなかった.このインタビュー調査については,福山市立大学の研究倫理審査委員会の承認を得ている.しかし,インタビュー結果の分析方法としてTEM等を用いることを検討しており,この方法を踏まえたインタビューガイドができていないので,インタビュー調査が実施できない状況である.TEMの場合,一人に3回のインタビュー調査が必要とされるが,これまでに「こどもの里」の支援者とは十分に信頼関係ができているので回数を短縮できるのではないかと考えている.今年度の8月-9月にはインタビュー調査を終了する予定である. また,各研究分担者のインタビュー調査については,「西成区要保護児童対策地域協議会」,「釜ヶ崎の貧困」,「釜ヶ崎の学童保育」など一部の調査は進んでいるが,「釜ヶ崎の保育所」の調査は進んでいないので,9月末までには終了するようにしたい.
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今後の研究の推進方策 |
「こどもの里」の支援者に対するインタビュー調査を実施し,地域における子どもの居場所の重要性や課題を明らかにしたい.これまでの調査研究から「こどもの里」は地域における「包括的地域子ども支援センター」として機能していることが明らかになった.今後,インタビュー調査を行うことによって,なぜ,このような機能を果たすことができるのか,その要因を探っていきたい. また,今年度は研究最終年度なので,研究分担者が実施しているインタビュー調査結果も踏まえ,報告書作成の準備をしていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析ソフトSPSSを今年度購入する予定であった.しかし,インタビュー調査等を実施できなかったので,データ処理を行うことができなかった.できるだけバージョンアップしたSPSSを購入したいので,今年度SPSSを購入することは見合わせた. インタビュー調査を実施できなかったので,そのための交通費や謝金を使用しなかったので,次年度に繰り越すことにした.
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次年度使用額の使用計画 |
インタビュー調査を実施した後,データ分析を行うためにSPSSを購入する. インタビュー調査を実施するための交通費や謝金,そしてデータ整理の人件費として繰越金を使用する.また,インタビュー結果をTRM図等の電子媒体でわかりやすくし,インタビューした対象者にフィードバックするために,プロジェクターを購入する. 文献等の資料を整理するために,資料を電子媒体として取り込むためのスキャナーとその作業を行うための人件費として繰越金を使用する.
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