研究実績の概要 |
本研究は、地方中小自治体における「インフォーマルケアシステム(ICS)」構築促進を目的としその支援方法を整理するものである。第1年度は、「安心生活創造事業」モデル6自治体を対象とし、「ICS構築支援主体」(行政/社協等)、「ICS構築実施主体」(地域活動団体/実践者)に対する資料収集と聞き取り調査を実施しICS構築の現状と課題を整理。第2年度は、中山間地域自治体在住20歳以上男女2,250名(750名×3地区)対象質問紙調査を実施し「支援活動」に対する住民の意識と態度を分析。最終年度では、臨海工業地域自治体在住20歳以上男女1,000名(1地区)対象質問紙調査を実施し比較分析を行った。その結果、以下の知見を得た。(1)ICS構築においては、「地域住民」の活動支持度と活動参加度が「実施主体」の活動意欲に影響を与える。(2) ①活動支持度は4地区いずれも9割強、②支持理由は、「将来、地域から支援を必要とする(将来利己)」(68.1%~69.9%)、「地域課題は住民で解決すべき(理念互助)」(45.8%~57.2%)、「地域から支援を必要とする住民を知っている(情念互助)」(15.0%~43.4%)。(3)③参加経験と④参加意欲は、「見守り訪問員」(③4.2%~9.8%、④8.9%~11.0%)、「さりげない見守り」(③17.2%~37.7%、④41.5%~63.4%)、「情報提供」(③3.5%~12.8%、④8.9%~20.1%)等、「寄付」(③14.3%~25.3%、④16.5%~31.6%)。(4)⑤「参加経験」を従属変数とするロジスティック回帰分析による4地区共通要因は「情念互助」のみ。以上から、ICS構築のためには、「実施主体」「支援主体」の連携により、「支援対象者」の生活困難の様態と支援の意義を可能な範囲で周知する「地域住民」対象啓発事業の必要性を確認した。
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