| 研究課題/領域番号 |
25380759
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| 研究機関 | 北海道医療大学 |
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研究代表者 |
佐藤 園美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (10387417)
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| 研究分担者 |
向谷地 生良 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (00364266)
奥田 かおり 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40632609)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 当事者研究 / ソーシャルワーク演習 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、自己観察を行う方法としての当事者研究の有効性について検証し、当事者研究を用いた新たな演習プログラムを開発することを目的とした研究である。
初年度に当事者研究の有効性を検証するため、実際に当事者研究を実践している経験者（精神障害の当事者）へのフォーカスグループインタビューを行った。その結果、精神障害の当事者は当事者研究を行うことで、自己観察と自己変革の循環を繰り返しながら、当事者自身が抱える課題に対処する能力を高めていることが明らかになった。
この研究結果を踏まえ、実際学生が自己観察を深める方法として当事者研究が有効であるかを検証するため、平成26年～平成27年度にかけて対象学生（精神保健福祉コース23名）に当事者研究を取り入れた演習プログラムを実施した。プログラムの実施前後で学生にセルフレポートを書かせると共に、マインドフルネス、セルフ・モニタリング尺度、自己肯定意識尺度の3つの心理検査を実施した。平成27年度は特に精神保健福祉ソーシャルワーク実習が行われたため、その終了後にも同様の調査（心理検査とセルフレポート）を行い、現在3つの時点の調査結果の比較分析を実施している。
さらに、平成27年度には、小学校、高等学校、専門学校等で教育に当事者研究を用いている教育機関の先生と実際に体験した生徒・学生によるシンポジウム「教育における当事者研究」を開催した。シンポジウムでは本研究の取組みを発表すると共に、それぞれの教育現場での実践報告、生徒・学生からは当事者研究を実際に行っての感想と変化等が発表された。このシンポジウムにおいて意見交換や体験の共有をすることで、教育現場での当事者研究の今後の可能性、発展に向けた示唆を得ることができた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の研究結果を踏まえ、平成26～平成27年度にかけて、対象学生（精神保健福祉コース3～4年）対して当事者研究を用いた演習プログラムを実施した。また、平成26年度に演習プログラムの前後で行ったセルフレポートと心理検査を、平成27年度の精神保健福祉ソーシャルワーク実習後にも実施した。その3つの時点での調査結果の分析、考察を平成27年度中に終える予定であったが、データ入力等が遅れ、まだ検証中である。そのため、平成27年度に予定していた学会での研究発表を行っていない。
一方平成27年度に開催した「教育における当事者研究」では、大学教育だけでなく、小学校、高等学校、専門学校等の教育現場においても、当事者研究を用いた取組みがなされ、一定の成果を上げていることを知ることができた。シンポジウムで今後の教育における当事者研究の可能性について意見交換することで、本研究への示唆を得ることもできた。このシンポジウムの報告書を作成し、教育分野での当事者研究の普及を目的として関係の教育機関等に配布する予定であったが、シンポジウムのまとめ（テープ起こし等）が遅れておりまだ完成していない。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成28年度は（１）当事者研究を用いた演習プログラムの継続と具体的方法（頻度、次期、グループの人数等）の修正（２）学生のセルフレポートと心理検査の分析を行い、当事者研究が学生の自己観察力を促進するのに有効であるかの検証（３）教育における当事者研究の実践について情報・意見交換をし今後の可能性について検討する。
研究計画では当事者研究を用いた演習プログラムのマニュアルを作成し、ワークショップ等を行うことになっていたが、まだ演習プログラムは開発途上である。そこで平成28年度は現在も続けている演習プログラムの内容を改善し、他の教育現場での実践についてより多くの情報収集と意見交換（国外を含む）をすることで、さらに効果的な演習プログラムの開発を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度までに行った調査データ（学生のセルフレポート及び心理テスト）の分析をまだ終了しておらず、それにかかる費用を平成27年度に支出しなかったため。
さらに平成27年度に開催したシンポジウム「教育における当事者研究」の内容を印刷物にして、教育機関等に配布する予定であったが、作成が間に合わず平成28年度へ持ち越したため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
学生のセルフレポート、心理検査のデータ入力謝金及び交通費。シンポジウムの報告書の作成（テープ起こし、印刷等）にかかる費用。当事者研究を用いた演習プログラム実施のための費用及び授業インストラクター（当事者研究の経験者）への謝金および交通費。当事者研究の実践についての情報収集にかかる費用（海外も含む）。研究結果の学会での報告にかかる費用。
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