研究課題/領域番号 |
25380762
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研究機関 | 仙台白百合女子大学 |
研究代表者 |
白川 充 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (00248692)
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研究分担者 |
岩間 伸之 大阪市立大学, その他の研究科, 教授 (00285298)
村山 くみ 東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40382668)
米山 珠里 東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50553046)
嘉村 藍 仙台白百合女子大学, 人間学部, 助教 (60438570)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク機能 / 災害支援 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
今年度の研究成果は、質的研究の手法を用いて「災害ソーシャルワーク機能」を構築した点にある。その方法と成果の一部を紹介する。 実践領域と実務経験を勘案して選定した8名のソーシャルワーカーに対するインタビュー結果をセグメント化し、生成した192のセグメントをもとに、ソーシャルワーカーの働きに注目して、サブカテゴリーを作製した。そのサブカテゴリーから、18のコアカテゴリーを構築した。これが当初の研究目的である災害ソーシャルワークの機能特性の検討と合致する「災害ソーシャルワーク機能」である。 「災害ソーシャルワーク機能」としての18のコアカテゴリーは、①「人命救助及び安全確保を優先する」②「安否確認や被害状況に関する情報の収集・確認によって、課題やニーズを把握する」③「情報の集約と整理ができる仕組みをつくる」④「課題やニーズを予測して行動する」⑤「把握できた課題に優先順位をつけながら対応する」というように、全部で①から⑱のカテゴリーによって構成されている。 これらのカテゴリーを概観すると、災害時のソーシャルワーク機能は、その時点での対応のみならず、先の展開を想定した働きがみられること、また災害時には当事者や地域の関係者の力を最大限の活用する傾向が顕著であった。 今後は、この「災害ソーシャルワーク機能」についての評価と検証を行いたいと考えている。具体的には、被災地のソーシャルワーカーによる仮説検証を目的としたインタビューの実施と、日本ソーシャルワーク学会において研究成果の検証の場を設定する予定である。それらを通して、災害ソーシャルワークとしての体系化とソーシャルワーク機能との整合性についても検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的は「災害ソーシャルワーク理論」の体系化に向け、その「機能特性」を実証的に明らかにすることであった。今年度の研究成果としては、「機能特性」についての仮説生成まで到達したが、その検証作業には至らなかった。この点が自己評価として「(3)やや遅れている」として理由である。すでに検証作業の計画はできているので、次年度で追いつきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に予定していた検証作業の一環であるアンケート調査は、生成した「災害ソーシャルワーク機能としての18のコアカテゴリー」に対する検証方法としては、対象設定の難しさと調査法に限界があるということで中止となった。検証作業としては、いわゆるエキスパートチェックに重点を置き、当初の予定通り、被災地においてソーシャルワーク実践を担ってきたソーシャルワーカーによる協議・検討を、複数箇所で行う予定である。また日本ソーシャルワーク学会第3研究推進部会理事等による総合的な検討を平成27年度9月に予定していする。 それによって災害ソーシャルワークとしての体系化とソーシャルワーク機能との整合性について検討し、最終的な研究成果をまとめることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた検証作業の一環であるアンケート調査は、生成した「災害ソーシャルワーク機能としての18のコアカテゴリー」に対する検証方法としては、対象設定の難しさと調査法に限界があるということで中止となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
検証作業として、いわゆるエキスパートチェックに重点を置き、当初の予定通り、被災地においてソーシャルワーク実践を担ってきたソーシャルワーカーによる協議・検討を、複数箇所で行うことで使用することになる。また日本ソーシャルワーク学会第3研究推進部会理事等による協議・検討の機会を充実させる中で使用する予定である。また研究成果を取りまとめる報告書の作成作業に使用する予定である。
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