研究課題/領域番号 |
25380768
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
池谷 秀登 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (70609627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活保護 / 適正化 / 福祉事務所 / 在日朝鮮・韓国人 |
研究実績の概要 |
本研究は、第一次生活保護適正化の実態を検証することにより、生活保護行政の適正化施策の課題を明らかにすることを目的としている。歴史的に生活保護行政では、受給者が増加する時期には不正受給の増大の指摘が行われ、その対策として適正化施策が実施された。ここでいわれる適正化とは、生活保護費の引き締めを行うために、要保護者を保護から排除する傾向の強いものであることから、その実施にあたっては人権侵害が生じやすいものである。 現行生活保護法成立後初めての適正化である第一次適正化の特徴として、在日朝鮮・韓国人が適正化の対象とされた。彼らは、1952年の「日本国との平和条約」により、外国人とされ、生活保護申請権、審査請求等の法的救済手段がなく、適正化により人権侵害が生じる可能性が高かったことが挙げられる。結果として、在日朝鮮・韓国人の被保護者数は激減している(第一次適正化開始時の1955年を100とした時に、1965年には38となっている)。 第一次適正化は、その後の生活保護行政が実施してきた適正化の原型と考えられる。これを検証することで、生活保護行政における適正化の課題を解明することとしたい。 平成26年は、平成25年に引き続き適正化対象とされた在日朝鮮・韓国人のおかれた状況について文献研究を行った。特に、在日朝鮮・韓国人の生活状況、貧困状況について検討をおこなった。また、在日朝鮮・韓国人の居住者が多かったA自治体のケースワーカー経験者に個別ヒアリング、複数人での対談、質疑等をおこなった。また、行政職員が第一次適正化をどの様に考えていたのかについての文献研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適正化を実施していた行政職員による意識についての検討が行えた。また、当時の在日朝鮮・韓国人の生活状況及びその背景についても文献検討が行えた。統計処理により第一次適正化による在日朝鮮・韓国人の保護からの排除についても具体的な数値等の分析ができた。
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今後の研究の推進方策 |
適正化の具体的手法についての文献検討及び、ヒアリング等による調査により研究をおこなっていく。適正化にあたっての福祉事務所等の職員の認識について研究することで、現在の生活保護行政との関係性を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一次適正化当時のケースワーカーの方のヒアリングが予想より近隣で行われたこと、また、高齢等の事情でヒアリング回数が予定より少なかった。成果報告も都内で行われたため。
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次年度使用額の使用計画 |
資料分析、ヒアリング調査により更に必要となる資料収集、成果についての学会等での検証及び報告書作成。
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