本研究は、第一次生活保護適正化の実態を検証することにより、生活保護行政の適正化施策の課題を明らかにすることを目的としている。歴史的に生活保護行政では、受給者が増加する時期には不正受給の増大の指摘が行われ、その対策として適正化施策が行われてきた。ここで述べる適正化とは、生活保護費の引締めを行うために、要保護者を保護から排除する傾向の強いものであることから、その実施にあたっては人権侵害が生じやすいものである。 第一次適正化の特徴として在日朝鮮・韓国人が適正化の対象とされていた。彼らは1952年の「日本国との平和条約」により外国人とされ,生活保護申請権がないとともに、審査請求等の法的救済手段もないことが挙げられる。 平成25年、26年度は第一次適正化当時に朝鮮・韓国人居住者の多かったA自治体、B自治体の当時のケースワーカーへのヒアリング、および文献研究により、第一次適正化当時の在日朝鮮・韓国人の被保護者数と生活困窮状態の要保護者数が乖離していないことを明らかにした。 第一次生活保護適正化により在日朝鮮・韓国人の被保護者は激減している。この激減した理由について適正化との関係に基づき、前述ヒアリングの他、資料分析、文献研究を行い解明を行った。
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