2017年度は延長した最終年度にあたり、情報不足を補うこと、全体をまとめることを目的とした。そのために2018年2月にオランダ調査を行い、デンマークについては2016年に訪問した際に入手したデータの不完全さを補完してまとめることができた。 オランダについてはこれまでのT事業者の結果に加えて、「死亡44.4%、施設入所22.2%、入院0、ホスピス5.0%」という結果を得た。デンマークでは2016年入手データを補完しつつ、448人の利用中止があり「死亡35.3%、施設入所14.5%、改善21.8%、入院0%、引っ越し3.8%、一時利用5.6%」という結果をまとめることができた。改善によってサービス利用を終結した利用者が2割以上もあるという事実は着目すべきである。 日本では2015年2月に回収した定期巡回サービス事業所アンケート(204票回収、有効回答率50.6%)によって、「看取り13.7%、入院後死亡25.7%、施設入所22.2%、入院11.1%、改善9.9%、引越し2.7%、その他5.8%」という結果が得られている。 巡回型サービスの地域居住アウトカムは、看取り(自宅での看取り)が約4割、施設入所が約2割という世界的傾向がある。入院は日本では1割存在したが、両国には存在しなかった。デンマークでは改善による利用終結が見られた。これにより日本の定期巡回サービスは地域居住アウトカムの視点からは世界レベルの成果を上げているとは言うものの、長期入院が存在している点、改善が少ない点は今後の課題になろう。また地域居住の促進要因として、各国ともに24時間の巡回体制による安心感、本人の意思、家族や近隣住民などによるインフォーマルなサポートが挙げられた。日本では、家族が本人の意思を曇らせて地域居住の阻害要因となっている。しかしながら、地域を巻き込むケアが始まっている点は評価に値する。
|