本研究の目的は、高齢者の虐待による死亡事例とともに、それのみならず、死亡に至らないが重篤な事例および被虐待者の自殺や死亡による終結事例等、より緊急性、優先性の高い事例について分析するとともに、「検証」について、その実態を把握した上で、その理論と方法の研究開発を行うことである。 2013年度、2014年度は、調査実施の準備のための情報収集に充て、本研究テーマに関する既存調査と、「検証」に関する自治体の動向についての情報収集を行った。その結果、2014年度は研究代表者が高齢者防止施策に関わるA県において、その重要性について県および県内において担当者の認識するところとなり「検証」に関する具体的な試みを行う計画を立案し、2015年度には、制度立案の可能性と施策実現に向けその課題についての洗い出しを行い、2016年度は、A県が実施主体となり県内の事例検証を実施し報告書を策定したことから、本研究に関する事例研究や、方法の研究開発の可能性を得られることができた。 また2015年度においては、それまでの成果を踏まえ、全国の都道府県(悉皆調査)、政令市(悉皆調査)、市区町村(悉皆調査)の高齢者虐待防止主管課および、全国の地域包括支援センター2000カ所に、質問紙による郵送調査を実施した。できる限り最新のデータを入手するため、調査期間を2016年1月20日から同年2月末までとしたが、3月末までに延期した。なお締め切りの末尾が年度末となるため、自治体からの要望により、次年度の2016年4月の返信も受付けることとしたため、本研究期間を1年間延長することを申請し認められた。2016年度は、回収状況を検討した結果、都道府県・政令市の回答のない自治体に対して再度調査票を発送して依頼し、2016年7月末まで調査期間を延長し、調査結果について集計・分析を行った。その結果を成果物としてまとめる予定である。
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