研究課題/領域番号 |
25380778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
金子 恵美 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (70279587)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 支援を求めない子どもと家庭 / 介入 / アウトリーチ / ネットワーキング / 多職種協働 |
研究概要 |
平成25年度の研究成果は、以下の2点である。 第一に、「地域における介入型ソーシャルワークモデル」の実施要素を以下の5つに整理し、それぞれの実施状況を測るための具体的なチェックシートを作成した。1 基盤整備(情報一元化のシステム・アウトリーチのシステム・在宅支援サービス・人材整備)、2 調整(アセスメント・プランニング)、3 多職種協働(ケースマネジメント・ネットワーキング・アウトリーチ)、4 支援(見守り・介入)、5 効果測定(子どもの変化・親の変化・ネットワークの変化)。このチェックシートは、効果測定として、「子どもの変化」「親の変化」「ネットワークの変化」という3つの視点を設定して、この効果を測るための具体的なチェック項目を設定した。 第二に、支援を求めない子どもと家庭への介入事例を収集し、そのソーシャルワークの取り組みと、子ども・親・ネットワークの変化を、チェックシートで追うことによって、介入型ソーシャルワークモデルの実証を行った。 本研究の意義と重要性は下記の通りである。本研究は、地域において支援を求めない子どもと家庭に介入するためのソーシャルワークの取り組みを開発する。孤立して支援を拒否する子どもと家庭に介入するためには、当事者への働きかけ、あるいはワーカー個人の力量という一方向からのアプローチでは不可能である。ジェネラリスト・シーソャルワークの観点から、次のような包括的なモデルを開発した。地域ネットワークを構築・機能させて情報を一元化し、キャッチしたニーズに対して多職種チームが重層的なアウトリーチを繰り返す。これによって閉じられた家庭を開き、寄り添って生活問題の解決を図り、子どもと親の変容を図ることができる。本研究結果からは、この福祉的作用は、当事者だけではなく、地域ネットワークをも変容させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた「子ども・子育て支援プログラムのマニュアル(第1案)作成」「効果測定の指標の設定・測定方法の開発」に関しては、両者を一体化したチェックシートを開発することで,実践現場でより使いやすいものとなった。 支援関係者を対象として研修会によって意見交換を行うことについては、子どもと親のどのような変化に着目するかについて、共通認識が得られた。 社会福祉学会において、結果の発表及び意見交換会を行なった。 韓国の大学との合同セミナーへの参加において、地域でのソーシャルワークに関する情報収集・意見交換を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた結果を基にして、さらに介入型ソーシャルワークモデルを実証し、質を高める。具体的には以下の研究を推進する。1 事例分析の結果を反映して、チェックシートの改善を行なう。2 チェックシートの信頼性と妥当性を検証する。このために、地域を広げて事例を収集する。3 介入型ソーシャルワークモデル及びチェックシートに関する個別のヒアリングを行う。4 学会等において,結果の発表及び意見交換会を行う。5 海外の情報収集・意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外渡航は、大学主催の合同セミナーに参加したことから、費用が低額であった。 研修・調査の対象者が謝金を受けとらなかった。 調査結果の分析のためのソフトを購入予定(SPSS)
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