研究課題/領域番号 |
25380779
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東アジア / 地域文化 / ケア人材育成 / 日本経験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、比較研究の視点から東アジアの地域文化に即した地域包括人材の育成の仕方を方法論の角度から検討することにある。それを実現するために、平成26年度には、東アジア地域文化に適合するケア人材育成の方法論の構築に関する理論的、実践的課題の解明を重点に置き、中国、台湾の実務家や研究者との連携を取りながらワークショップ、レクチャーを行ってきた。 具体的には、①北京師範大学公益研究院の協力を得て、当研究院が取り組んでいる「介護職リーダー養成プログラム」において、日本で評価された介護職スキルアップの教育教材と実践手法を導入し、検証作業を行ってきた。②日本人講師によるケア人材育成の研修講座を実現させながら、研修講座を受けた介護職リーダーらを対象に事例検討のワークショップを行い、日本の経験の汎用性及びその課題について、実験を通じて検証することができた。③台湾・台中市地域ケアセンターの実務家とのワークショップを通じて、日本介護職スキル・アップの職業教育の流れを紹介し、台湾にとって解決すべき課題について検討した。さらに以上の研究活動を踏まえ、日中両国の方法論の相違を明らかにし、東アジアの地域文化に適合する方法論の構築をデザインしてみた。一方、本研究と関連する研究業績として、単著の『中国社会福祉改革はなにを目指そうとしているのか』を出版し、併せて編著1冊、共著2冊、投稿論文4編、学会発表3回、招待講演3回の実績をあげた。 今後の研究展開に関して、これまで実験してきたケア人材育成のデータや事例を体系的、理論的に分析し、その方法論を共有化するアプローチを明確にする。また、東アジア社会全体に適応できる地域ケア人材育成に関する学習・研修システム及び方法論の構築に関する政策を提言する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初予定された本年度の課題研究は、おおむね達成した。すなわち、本年度の研究活動を通じて、ケア人材教育における職業教育及びスキルアップという生涯教育の中に、日中両国の方法論の相違を明らかにし、東アジアの地域文化に適合する方法論の構築における課題を解明した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、中国で取り組んだ日本式ケア教育実験に関わる関係者に聞き取りを行い、方法論の活用、普及のための具体的なアプローチを明らかにする。また、日本女子大学でワークショップ及び国際シンポジウムの開催によって、研究成果を社会に還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた主な理由は、下記の通りです。 他の費用で中国へ出張した際に、本課題研究の調査もあわせて行ったことがあったため、残額が生じた。海外出張時間の確保が難しいことにより、こうした工夫をせざるを得なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の使用計画 平成27年度に海外の実務家、研究者を招聘し、日本で小規模なワークショップ及び国際シンポジウムを開催することを企画している。科研費をより有効に使用するため、次年度の国際シンポジウムの会議費、国際旅費に回すことにした。
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