最終年度の主な課題は、介護人材育成の知見について中国ないし東アジア地域に共有化するに値する方法論を明示し、その研究成果を社会に還元する。 次のよう研究活動を行った。 国際研究集会の開催:①2016年7月1日に中国民政部の研究者と実務家、計5人を招聘し、川崎市地域包括ケアセンターとの連携で、地域包括ケアのあり方及び人材育成の日中比較について国際研究集会を行った。②2016年8月10日に復旦大学の研究者を迎え、東京大学高齢研究機構と連携して、「柏プロジェクトの示唆」について、研究集会を行った。③ 2016年12月24~25日に上海YMCAの介護施設を会場として、「日本式介護の中国への応用」を課題にし、研究集会を行った。日本介護人材育成の指導者や中国に進出している日本介護企業の責任者及び復旦大学の研究者及び上海の実務家が参加した。 研究成果の公表:① 中国社会保障学会が西北大学で開催した東アジア社会保障国際会議において連名で「日本のターミナルケア」について発表した。② 7月5日中国社会政策専門委員会が重慶工商大学で主催した国際会議に「日本地域包括ケア政策からの示唆」について研究発表した。③ 大分大学で開催された国際会議において、「中国介護政策の推進における日本からの影響」を題に発表した。 研究報告書の作製:2017年3月に「東アジアの地域文化に即した地域包括ケア人材育成の方法論に関する日中比較研究」報告書を完成した。 本研究の政策提言では、東アジアの生活文化に即した日本の地域包括ケア人材育成の実務経験は、中国ないし東アジア地域に普及する可能性が大きい。しかし、日本の介護制度と政策は、日本の地域社会の自治性や財政のあり方及び介護サービス供給組織の成熟度を基盤としている、これは中国の現況と異なっているため、介護制度と政策における日本の知見が、中国への活用に制限されている。
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