研究課題/領域番号 |
25380780
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鍾 家新 明治大学, 政治経済学部, 教授 (10281552)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | <在日新華僑> / 年金保険 / 医療保険 / 介護保険 / 社会保障制度 / 老親の介護 / 日本型福祉国家 / 国民国家 |
研究実績の概要 |
中国と日本を生活基盤としている<在日新華僑>に対して、主に[1]仕事の内容、[2]日本における年金保険・医療保険・介護保険の加入状況、[3]日本における年金保険・医療保険の加入状況、[4]日本と中国を往復しながら親の介護の実態、を中心に聴き取り調査を行い、研究した。 今年度の研究によって、つぎのことが明らかにされた。<在日新華僑>が置かれている福祉の状況は明らかに<在日老華僑>と異なる。<1><在日新華僑>は中国と日本を生活基盤としているため、日本と中国における年金保険・医療保険などに加入することができる選択肢が増えた。同時に、日本と中国における年金保険・医療保険など社会保障制度の通算制度が結んでいないため、社会保険料の負担を考慮して、日本あるいは中国の年金保険・医療保険のみに加入することを選択する人も多い。<2><在日老華僑>と異なり、<在日新華僑>は中国社会の急速な発展、特に年金保険・医療保険などの整備に伴い、中国で老後を送る選択肢が現実的になっている。また、<在日新華僑>の老親も<在日新華僑>と日本で生活する条件が徐々に備えている。要する、<在日新華僑>は自分の老後、老親の介護などにおいて<在日老華僑>より選択肢が増えた。 日本型福祉国家のような現代福祉国家体制は国民国家を前提して創られ、運営されてきた。中国と日本を生活基盤としている<在日新華僑>のような国境を越えて移動する集団の福祉問題に対処しきれない。本研究によって現代福祉国家体制がもつ限界を明らかにした。これは日本における福祉国家研究の発展に役立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
その理由はつぎのとおりである。 <1>本研究の代表者はこれまで、日本型福祉国家体制と中国の社会保障制度の整備に関して研究してきたため、日本型福祉国家体制と中国の社会保障制度における<在日新華僑>の福祉状況と位置づけを理解することができた。 <2>中国と日本を生活基盤としている<在日新華僑>に対して聴き取り調査をすることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策はつぎのとおりである。 <1>日本型福祉国家体制と中国の社会保障制度の整備について、理論的にさらに研究する予定である。 <2>中国と日本を生活基盤としている<在日新華僑>に対して聴き取り調査とアンケート調査をさらに行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は中国と日本を生活基盤としている<新華僑>を聴き取り調査の対象にしてきた。他の人の紹介によって、調査対象を確定してきた。予定より、聴き取り調査の対象 の確保が困難であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
聴き取り調査の対象である中国と日本を生活基盤としている<新華僑>をさらに探し、研究旅費として使用する予定である。
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