研究課題/領域番号 |
25380783
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
長倉 真寿美 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (70407633)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / 介護保険制度 / 保険者 / 地域格差 / 日常生活圏域 |
研究実績の概要 |
科学研究費補助金(基盤研究(C))「要介護高齢者の地域生活を可能にする地域ケアシステムの構造に関する研究」(2009~2011年度)で構築した、2002~2008年度の保険者別地域属性、医療資源、介護保険サービス(4種の居宅サービス(以下居宅4)、施設、施設・居住系、地域密着型)の要支援・要介護認定者一人当たりの利用件数から算出した利用指数等を入力したデータベースに、2013年度は2009、2010年度のデータを付加したが、2014年度は更に2011、2012年度のデータでアップデートを行った。これらのデータを使い、各保険者の地域特性やサービス利用状況等の現状及び変化の把握、地域格差を明らかにした。地域格差を各サービス利用指数の最上位と最下位の差でみると、居宅4、施設サービスの差が非常に大きいという結果が変わらずみられた。施設・居住系、地域密着型サービスの差は居宅4、施設サービスとの比較でみれば小さいが、保険者間の差が決して小さくない傾向は引き続きみられた。 また、2013年度に実施したサービス利用傾向が異なる3グループを対象にした地域包括ケアシステムに関するアンケート調査に回答があった保険者のうち、2006年度以降経年で居宅4、地域密着型サービス利用指数の高いグループの保険者を対象にヒアリング調査を実施し、アンケート結果と併せてケース・スタディを詳細に行った。その結果、このグループは情報を活用し、地域包括ケアシステム構築に寄与する行動をとっている傾向があると考えられる。また、行政の政策上の地区割りである日常生活圏域と、住民の日常生活上及び住民活動の範囲としての地区割りの一致が抽出できた。これにより、福祉・医療ニーズのある高齢者を支える仕組みが、住民を中心とした顔の見える関係の中で、行政、社会福祉協議会、福祉施設・事業所、医療機関等との連携により機能していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に実施予定であった内容を計画通り実施した。 2006年度以降、経年でみて、居宅4、地域密着型サービスの利用指数が高い保険者の役所、地域包括支援センター等の高齢者ケアに関わる機関、社会福祉協議会等を訪問し、アンケート調査では収集できない地域特性、高齢者福祉施策の経緯、サービス提供体制の特徴、地域包括ケアシステム推進事業の進捗と課題等についてヒアリング調査、公文書の入手を行った。また、サービス利用指数の分析結果、公文書の精査・解釈、ヒアリング調査結果を使った三角測量的手法で、ケース・スタディを行った。 これにより、居宅4、地域密着型サービスの利用指数が高い保険者の地域特性、高齢者福祉施策の経緯、サービス提供体制等の特徴、地域包括ケアシステム構築のプロセスと結果、これらのサービスの利用水準を高くする地域包括ケアシステムの構成要素を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2002~2010年度の経年でみて、居宅4サービスの利用指数が高く、施設・居住系サービスの利用指数が低い保険者の役所、地域包括支援センター等の高齢者ケアに関わる機関、社会福祉協議会等を訪問し、アンケート調査では収集できない地域特性、高齢者福祉施策の経緯、サービス提供体制の特徴、地域包括ケアシステム推進事業の進捗と課題等についてヒアリング調査を行う。また、可能な範囲で、公文書の閲覧・入手も行う。ヒアリング調査の対象選定にあたっては、グループ内で結果の比較が行えるように、サービス利用指数や地域属性等を考慮する。 これにより、居宅4サービスの利用指数が高く、施設・居住系サービスの利用指数が低い保険者の地域特性、高齢者福祉施策の経緯、サービス提供体制等の特徴、地域包括ケアシステム構築のプロセスと結果、課題をより詳細に明らかにする。また、グループ内の比較結果から、地域包括ケアシステム構築の条件、手順等を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに使用したが、ヒアリング調査依頼をしていた2つの保険者への訪問が先方の業務上の都合により、年度末の3月後半になり、精算が次年度となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度分の余剰分を加え、平成27年度に予定している調査・研究にかかる経費を計画通りに執行する。
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