科学研究費補助事業(基盤研究(c))「要介護高齢者の地域生活を可能にする地域ケアシステムの構造に関する研究」(2009(H21)~2011(H23)年度)で構築した2002(H14)~2008(H20)年度の保険者別地域属性、医療資源、介護保険サービス(4種の居宅サービス(以下居宅4)、3施設、3施設+居住系、地域密着型)の要支援・要介護認定者一人当たりの利用件数から算出した利用指数等を入力したDB及び、本研究で2013(H25)年度に2009(H21)~2012(H24)年度のデータを付加したDBに、2013(H25)~2014(H26)年度のデータを入力し、介護保険事業状況報告等最新公表データが入ったものにした。 また、上記DBから、サービス利用傾向が経年で見て異なる3つのグループ、(1.居宅4、地域密着型ともに利用指数が高い、2.居宅4の利用指数が高く、3施設+居住系の利用指数が低い、3.居宅4の利用指数が低く、3施設+居住系の利用指数が高い)を抽出して、2013(H25)年度に実施した地域包括ケアシステム構築に関する調査に対して回答があった保険者のうち、居宅4の利用指数が低く、3施設+居住系の利用指数が高いグループの保険者5か所を対象にヒアリング調査を実施し、アンケート調査結果と併せてケース・スタディを行った。 このグループの保険者は、いずれも在宅化推進のための居宅サービスの整備及び利用推進、介護予防、見守り事業に力を入れていた。しかし、山間地や離島では仕事が限られているため、経済的に余裕のない高齢者が多く、給付費の上限まで居宅サービスを使わない、または非課税世帯で利用料が無料の人が多いということが分かった。また人口が多いところは施設サービス利用指数は低いが、施設需要の高さから居住系サービス事業者が参入し、施設・居住系サービス利用水準が高くなっている。
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