研究課題/領域番号 |
25380784
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20340416)
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研究分担者 |
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
松井 真理子 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30340409)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地方自治 / NPO / サード・セクター / パートナーシップ / 社会的価値 / 社会的企業 / ガバナンス / 社会包摂 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、主に次の調査研究を実施した。 第一に、ローカル・ガバナンスにおいてサード・セクター(以下TS)がどのように位置づけられ得るかを考察するため、国内外の社会的企業関連の文献調査を行った。ここから、日本及び英国においては、TSに対する研究上の関心は、年代によって変容しつつあることや、それが政策動向とある程度リンクしていることを理解できた。 第二に、自治体とTS組織との交渉プロセスについて、英国の3つの自治体及び地域の中間支援組織1団体にインタビューを行った。英国では、労働党政権下に設立された地域の協議・交渉組織(LSPs)が実質的に力を失う中で、契約担当部局やフロントライン事業担当とTS組織とのインフォーマルな個別交渉が中心になっている。現政権では自治体への資金を数年間で3割以上削減しており、それに伴ってTSの財政は逼迫しているだけでなく、価格重視の競争的な資金が一層増えつつある。また、小規模な組織をネットワークし、コンソーシアム入札などを支援する中間支援組織の機能も弱まっている。こうした中で、自治体は、一方でより安価で財務的なリスクの少ない全国規模の営利企業に積極的に委託・アウトソーシングする動きがみられるが、他方で、そうした対応に伴う企業の撤退、サービスの質低下、地域経済空洞化等のリスクを憂慮し、戦略的にTSの活動領域を確保しようとする動きもみられた。その際、1,個別のTS組織の受注活動を側面支援するなどの中間支援組織の活動が、自治体の担当者の判断に一定の影響を及ぼしている可能性があること、2.サード・セクター固有の価値を公契約に反映させるために、委託者側の一方的な仕様によらない独自の価値を中間支援組織が提起する取組が、社会的価値法の制定を背景に一定の広がりを見せていることなどが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献整理や海外の実態調査について、予定通り行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本の自治体の協働施策実態調査については、海外の協働施策とは背景・文脈がかなり異なることがわかった。そのため、日本の協働の実態については、今後試行的にインタビュー等をしながら代替的な調査を考えたい。 また、次年度予定されている「サード・セクター組織の視点から捉えた自治体との交渉プロセスの実証分析」については、現段階でフォーマルな交渉組織が事実上効力を失っているので、これについても試行的にインタビューや関係協議資料等を通じて個別事項ごとにあたっていきたい。 なお、残額は次年度分とあわせ、主に英国調査旅費に割り当てる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に調査旅行を計画し、費用を計上していたが、他の予定が入ってしまい次年度に実施を延期することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度できる限り余裕を持たせた出張計画を立てるようにしたい。
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