研究課題/領域番号 |
25380785
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
保正 友子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80299859)
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研究分担者 |
杉山 明伸 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (40438106)
楢木 博之 身延山大学, 仏教学部, 准教授 (40552245)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療ソーシャルワーカー / 業務継続中断 / 個人因子 / 環境因子 / 相互作用 / インタビュー調査 / 郵送紙面調査 |
研究実績の概要 |
平成26年度は2つの作業に取り組んだ。 第一は、平成25年度に取り組んだ医療ソーシャルワーカー業務の継続を中断した7人のインタビュー調査データに基づき、業務継続中断の傾向を考察し日本医療社会福祉協会全国大会で発表した。そこでは、3点の傾向が見出せた。1.中断には医療ソーシャルワーカーの労働条件の不安定さを含む、医療機関ならではの理由と、他領域でも共通する理由が存在した。2.バーンアウトとバーンアウト以外の理由で中断した例が存在した。前者の場合は、中断に至る前にその人なりの対処行動をとっている場合が多く、後者では環境因子の影響が中断に作用していた。3.ベースとなる出来事のうえに次々と別の出来事が重なり、臨界点に達して中断を決意した例と、大きな影響を及ぼす一つの出来事があるわけではなく、総体的に臨界点に達して中断を決意した例が存在した。また、これらの調査結果の一部は、埼玉県医療社会事業協会の学会でも発表を行った。 第二は、現在医療ソーシャルワーカーとしての業務を継続している、2県の医療社会事業協会に所属する会員に対し、業務継続中断の有無や中断しなかった理由を調べるための郵送による紙面調査を実施した。それに先立ち調査票を作成し、医療ソーシャルワーカー数名に対する予備調査を実施し、さらに調査票の修正を行った。そして、現在医療ソーシャルワーク業務に携わっている701名に対して、平成27年2月末~3月20日に調査を実施した。その結果、394名より回答が返送された(回収率56.2%)。 平成27年度は、この調査結果の集計に基づき、分析・まとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の平成26年度の計画は以下の2点を行うこととなっていた。 第一は、郵送調査の実施である。具体的には、研究分担者が役員を行っている2県のMSW協会会員のうち現在医療ソーシャルワーク業務に携わっている701名に対して、郵送による紙面調査を実施することである。 第二は、調査データの整理・分析である。調査票が返送され次第、調査データを整理する。業務継続を左右する要因についての分析を行う。さらに、面接調査に向けた段取りの詳細を決定する。 本来、平成25年度中に終了しているはずの予備調査の実施と調査項目の完成が、平成26年度にずれ込んだため、その分の作業が後ろにずれ込んだためである。しかしながら、調査自体は順調に進んでおり、回収率も56.2%と高いものであった。また、調査票には面接調査に協力してもらえる場合の連絡先記入欄を設けたところ、複数人からの協力承諾が得られている。そのため、引き続き当初の方向性で作業を続けていくことにより、当初見込んでいた成果が得られると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は以下の2点について進めていく。 第一は、平成26年度に実施した調査の集計を行い、分析・まとめを行うことである。それにより、業務継続中断を行っていない人の傾向を明らかにする。 第二は、業務継続中断を経験した調査協力者に対する面接調査を実施し、退職までの過程についての詳細を聞き取る。そして、その結果をKJ法およびエスノグラフィーの手法で分析する。その際、個人と個人を取り巻く環境の相互作用に着目していく。 上記の作業により明らかになった結果について、学会誌への投稿および学会での口頭発表を行い、社会に発信していく。
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