地域包括ケアシステム構築にあたり、その推進主体である基礎自治体において、インフォーマルケアの中心的な担い手である家族介護に対する支援はどうあるべきか、サービス供給主体が多元化するなかでの課題を検討した。 その際、急速な高齢化を踏まえたシステム構築が喫緊の課題となっている東京都区市町村に焦点をあて、62団体(全数)を対象とする質問紙調査「家族介護に対する支援事業に関する自治体アンケート調査――東京都区市町村を対象として」を実施した。その結果、相対的に財政基盤に恵まれた大都市圏の自治体では、自助に対する期待度が高いことが明らかになった。そこから、介護者の自立にも配慮する必要性、すなわち家族を中心とするインフォーマルな介護者を直接支援対象とする事業導入が求められることを指摘できる。基礎自治体の主体的な取り組みが期待されている地域支援事業の実施にあたり、地域包括ケアシステム構築にむけて検討すべき課題といってよい。 また、この結果を踏まえて、東京都K市に在住する要支援・要介護者とその主な介護者である家族・親族等を対象とする質問紙調査「家族介護に対する支援のあり方に関するアンケート調査――地域包括ケアシステムの構築にむけて」を実施した。 日常生活圏域による特性を明らかにするために、地域包括支援センターの担当地域ごとの差を分析した結果、近隣住民から受けたい支援、頼りにしている専門職、市に支援してほしい施策など、担当地域による差が認められた。地域包括ケアシステムを構築するうえで日常生活圏域ごとに、支援策のあり方に留意すべきであることが示唆された。 サービス供給主体が多元化するなかで、介護者支援の先進諸国にならい、家族を中心とするインフォーマルな介護者を地域包括ケアシステムに統合する視点が重要である。
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