戦後から60年代までの社会福祉の議論を分析した結果、当時は社会福祉の精神をめぐる視点やコミュニティ・オーガニゼーションへの取り組みの視点を持っていたことを明らかにできた。これは、従来の社会福祉理論史が政策的視点と技術的視点からのみ描かれていたこととは異なる。 今回明らかにした新たな視点により、第一に60年代までの社会福祉理論の土台には政策や技術以外の多様なかたちがあることがわかった。第二に現代の「福祉マインド」や「地域組織化」につながる議論の史的な説明ができるようになった。先行研究とは違う視点を発見したことで、従来の社会福祉理論史の枠組みを描きなおすことができた。
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