研究課題/領域番号 |
25380790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
辰巳 寛 愛知学院大学, 心身科学部, 准教授 (70514058)
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研究分担者 |
山本 正彦 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (40378039)
仲秋 秀太郎 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80315879)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 失語症 / 多職種連携 / リハビリテーション |
研究概要 |
進行性疾患や終末期がん患者においては、病態進行や再発・転移などによりADLに大きな制限が生じ、著しいQOLの低下を招く。特に失語症などのコミュニケーション障害が伴う場合は言語聴覚療法が重要なリハビリテーションの一翼を担うこととなる。本研究では、転移性脳腫瘍に伴うてんかん発作によりADLが階段状に増悪した運動性失語症の事例を通して、他職種間連携の問題と課題について検証した。患者のリハビリ意欲の確保やADL改善を目的とする継続的な支援サービスをチームとして提供する際には,1)刻一刻と変化する病態に冷静かつ機敏に対応できるチーム間の連携力、2)患者や家族のニードを適宜に確認し、リハビリテーション・プランを柔軟に変更する機動力、3)患者と家族への心理的配慮や環境調整を実施するための情報の共有力、が重要であることを確認した。多職種のスタッフが関わるケア現場では、言語聴覚士は専門的機能訓練のみならず、患者や家族のニードを敏感に把握し、代弁者「アドボケーター」としての役割を担うことが大切である。本邦では超高齢社会を背景に医療・介護の法整備によるリハビリテーションの役割が大きく変化している。在宅や介護施設における終末期ケア(リハビリを含む)とQuality End-of-life Careの観念は、今後ますます重要となる。患者の視点に立脚したケアの実現に向けたチーム全体の取り組みが求められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
失語症患者に対するケアサービス提供者側のチーム連携上の問題と課題が明らかとなり、訪問看護や訪問リハビリ・通所介護サービスにおける多職種間の機能的連携システムの基盤作りのための基礎的知見を得ることができた。 今後は、失語症に対する在宅サービス提供者側の病態認識の実態を調査し、失語症患者と家族介護者のための総合的在宅サービス介入システムの開発につなげる。
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今後の研究の推進方策 |
失語症に対する在宅サービス提供者側の病態認識の実態を調査し、失語症患者と家族介護者に対する包括的な心理・教育的介入プログラムの開発を行う。 訪問看護・訪問リハビリ・通所介護サービスにおける多職種間の機能的連携システムを開発し、失語症患者と家族介護者のための総合的在宅サービス介入システムの有効性について、長期間(1年以上)にわたり縦断的に検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者1名分に残金が生じたため。 残金が発生した研究分担者が次年度に使用する予定 データ集積用の専用ソフトの購入などを計画している。
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