研究課題/領域番号 |
25380792
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
青木 聖久 日本福祉大学, 福祉経営学部(通信教育), 教授 (10388788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障害年金 / 就労 / 社会保険労務士 / PSW / 障害認定基準 / 精神障害者 / 家族 / 生活支援 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、主に、以下の4つの研究成果があった。 1つ目は、精神障害の診断書が、障害年金の認定審査において、どのようなプロセスや基準のもと、実施されているか等の実態を、『日本精神保健福祉士学会』(於:埼玉)で学会発表すると共に、『日本福祉大学社会福祉論集』に論文掲載をした。これは、平成25年度に、障害年金受給支援をしているわが国でも代表的な社会保険労務士3名から、インタビューした内容が元になっている。また、これらの内容をはじめ、外部障害や内部障害と認定基準を比較したものについて、『精神保健福祉白書2015年版』中央法規出版に掲載した。 2つ目は、精神障害者が精神疾患を発症後、障害年金に最も早く知り得ることになると考えられる医療機関では、どのような取り組みを講じることが、権利保障を遵守支援方法になるかについて、『日本精神保健福祉士学会』(於:埼玉)で学会発表をした。 3つ目は、精神障害者や家族が障害年金の受給を検討するにあたり、最も気にしていると考えられる将来の就職との関係について、『日本精神保健福祉学会』(於:愛知淑徳大学)で発表した。 4つ目は、精神障害者が障害年金を受給継続するにあたって、就労していることがどのように影響しているかの実態や、精神障害者や家族が障害年金及び就労をいかにとらえているかについて、平成26年度は4か所でアンケートを実施することができた。この調査結果に加えて、平成25年度に既に実施していた2か所分の計6か所分の集計を平成26年度中に終えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、障害認定基準について、学会発表や論文、著書(白書)に執筆する等、一定の研究成果を示すことができた。加えて、精神障害者が就労していることが認定審査において、いかなる関係があるかのアンケート調査についても、400名以上から回収し、集計作業を終えている。また、障害年金受給が将来の就職にいかなる影響を及ぼすかについては、学会発表をすることができた。 ただし、精神障害者にとっての就労の意味や意義については、一定程度先行研究には取り組んだものの、体系的な整理等には至っていない。これらは、来年度以降の課題として残すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
概ね、以下の5つの項目について取り組むことにする。そして、これらの取り組みの成果を最終年度には、報告の場を設けることによって、研究成果をより深めることにしたい。1つ目は、平成25年度~26年度に精神障害者が障害年金を受給継続するにあたって、就労していることがどのように影響しているかの実態や、精神障害者や家族が障害年金及び就労をいかにとらえているかについて、計6か所分のアンケート集計した結果を元に、考察を加え、論文としてまとめる。 2つ目は、精神障害者や家族が障害年金の受給を検討するにあたり、最も気にしていると考えられる将来の就職との関係について、『日本精神保健福祉学会』(於:愛知淑徳大学)で発表したものを元にして、論文としてまとめる。 3つ目は、精神障害者にとっての就労の意味と意義を明らかにしたい。このことについては、先行研究やインタビュー等を通して取り組み、学会発表等をし、最終的には論文としてまとめる。 4つ目は、精神障害者や家族からのインタビュー調査によって、「経済保障と就労意欲との関係」をはじめ、障害年金と就労との関係について論じることにする。 最後に5つ目は、現在、精神の障害の障害年金の認定審査については、厚生労働省の年金局において専門家会合(筆者も委員の1人)が開催され、ガイドラインを作る取り組みがなされている。これらの情勢をふまえ、上述の他の研究成果を絡めて、国を含めた社会が取り組むべき課題を明らかにするものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月下旬に研究会を実施したので、当該年度に執行することができなかった。このため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額については、次年度の助成金と合わせて、調査研究による旅費、謝金等に使用する。
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