平成28年度は、主に以下の4点の研究実績があった。 1点目は、精神障害者が障害年金を受給することが、将来の就職にどのように影響しているかについて、社会保険労務士へのインタビュー調査による結果及び考察を、論文としてまとめたことである。具体的には、『日本福祉大学社会福祉論集』に掲載された。 2点目は、障害年金の認定審査において、就労がどのように評価されているかや、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に至るプロセス等について、学会発表『日本精神保健福祉学会』(於:沖縄大学)、及び、論文執筆をした。論文については、『精神保健福祉』『年金相談』『年金と経済』に掲載された。また、障害年金給付のあり方と精神障害者の生きづらさとの関係について、最近の障害年金の不支給や支給停止の状況に鑑み、論文としてまとめた。これは、大友信勝監修『社会福祉研究のこころざし』法律文化社、の第6章に「障害年金給付のあり方と精神障害者の生きづらさ―近年における障害年金の不支給や支給停止への対峙として―」に掲載された。 3点目は、精神障害者への障害年金受給支援において、最も身近な存在として捉えることのできる精神保健福祉士15名へインタビュー調査したものを、「『年金権利型』と『ジャッジ型』でジレンマを抱える精神保健福祉士―障害年金と就労との関係性を通して―」を、精神保健福祉士の学術誌『精神保健福祉』に論文投稿し、採用が決まっている。ただし、発行は2017年7月の予定である。 最後に4点目は、これまで4年間にわたって研究してきた内容を、中部(名古屋市:参加者155名)、関東(さいたま市:参加者221名)、関西(神戸市:参加者137名)において、講演及びシンポジウムという二部構成で報告会及び意見交換会を実施したことである。
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