研究課題/領域番号 |
25380793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
柏倉 秀克 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40449492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 中途障害 / リハビリテーション心理 / 障害受容 |
研究概要 |
中途視覚障害者問題の把握:職業リハビリテーション施設における中途視覚障害者の適応状況を調査し、前回調査(平成16年度)との比較を試みた。さらに筑波大学が平成22年に実施した全国視覚障害児者実態調査、その他の統計資料を分析し、中途視覚障害者問題の全体状況を把握した。 ICF(WHOの国際生活機能分類)の視点からの考察:中途視覚障害者援助における研究上の諸問題を「障害受容モデル」を中心に検討し、研究課題を明確化した。上記の調査で明らかとなった中途視覚障害者が抱える問題をICF(国際生活機能分類)の視点から考察した。その際、障害者自立支援法下における生活問題、平成19年に開始された特別支援教育における就労支援の問題、リハビリテーション医療やリハビリテーション心理領域における障害受容の問題を検討に加えた。 中途視覚障害者の心的困難(調査):視覚障害者の困難を理解するために、受障原因の多くを占める代表的な眼疾患に着目し、その病理と障害特性、生活上の困難、メンタルヘルスに及ぼす影響を調査した。その際、糖尿病性網膜症に代表される加齢性の眼疾患の増加に伴い中途視覚障害者が近年急増している問題に着目し、その対応を分析した。調査対象は視覚障害者の自立を支援する社会資源とし、①障害者地域生活支援センター、②眼科医療、③視覚障害リハビリテーション病院、④理療師養成を中心とした職業リハビリテーション施設を取り上げ、支援の現状と諸課題を分析した。なおこの調査に関しては、名古屋盲人情報文化センター(名古屋ライトハウス)、筑波大学附属視覚特別支援学校、全国特別支援学校校長会視覚障害部会、名古屋市総合リハビリテーションセンターと連携し研究協力を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内の達成目標の①(中途視覚障害者問題の現状把握)については、厚生労働省が平成25年度に発表した「生活のしづらさに関する調査」を新たに検討に加え、中途視覚障害者の現状を把握している。同②(従来の援助方法における問題点の整理と研究課題の設定)については、中途視覚障害者の相談支援にあたるソーシャル・ワーカーと連携し、研究上の課題を設定した。同③(事例調査に基づく支援内容の分析)については名古屋盲人情報文化センターでピアサポートを受ける障害当事者を対象にグループ・インタビューを実施し、その結果を分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度中にこの領域で先進的な取り組みがみられるドイツを訪問し、研究上の情報収集を進める。さらに研究期間内の達成目標の④(開発した支援システムの実証的検討)に向け、中途視覚障害者に対する援助方法の構築に向けた作業仮説を検討し、実証研究に向けた基礎固めを進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
関東地区で予定していた研究打合せを本務校で実施したため、旅費が予算額を下回ったことによるもの。 ①ドイツにおける実地調査を予定しているが円安の影響や航空機燃料が高騰しており、海外渡航費は当初の予想を上回ることが予想されており未使用額をこれに充てる。さらに、②中途視覚障害者のメンタルヘルスと関連要因について調査を進めるため、旅費や謝金等に使用する。③支援方法の理論的検討を進めるため、文献の購入等に使用する予定である。
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