平成27年度は、認知症ケア専門職の具体的職務とその養成について、「家族コンサルタント」に注目した。近年、「家族コンサルタント」がデンマークの各自治体に配置されており、主として、認知症の家族をもつ配偶者への支援が行われている。家族コンサルタントは、市内にオフィスを構え、勉強会や集会ができるようなスペースを確保しながら、家族と面談や家族同士の集いの場を開催している。このことを通して、認知症コーディネーターと家族コンサルタントが一体となり、支援していることが明らかとなった。 昨今、介護現場での取り組みとしてアクティビティが注目されている。特に認知症ケア分野では、「回想ダンス」という実践が広がりを見せており、介護現場で働くスタッフに対する「回想ダンスインストラクター」養成の取り組みも始まっており、約500名のインストラクターが養成されている。最も大事にされていることは、ダンスの「技術」ではなく、なぜこの取り組みが「認知症の人にとって良いのか」という理論をスタッフ自身が理解することだと言われている。単に「楽しむことをリードする」のではなく、スタッフが「なぜするのか」を理解することによって、より認知症の人にとって大切な取り組みになるのである。 アクティビティは、プライセンターだけではなく、在宅でくらす高齢者にとっても注目されている。できるだけ長く在宅で生活ができるように、作業療法士等が関わり、「自分でできることを増やしていく」ための取り組みが始まっている。例えば、「買い物に行く」という行為が難しくなった高齢者に対して、もう一度できるよう支援する。身体機能評価を行い、日常生活で何を訓練したらよいかを明確にし、プログラム化したうえで、ホームヘルパーが適切にその訓練ができるよう指導する。3が月程で評価をしながら、できることを増やしていくというものだ。
|