研究課題/領域番号 |
25380800
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 四日市看護医療大学 |
研究代表者 |
萩 典子 四日市看護医療大学, 看護学部, 准教授 (30460645)
|
研究分担者 |
東川 薫 四日市看護医療大学, 看護学部, 准教授 (00340406)
大西 信行 四日市看護医療大学, 看護学部, 講師 (20336712)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 若年無業者 / 就労支援 / ストレス対処力(SOC) / サポートステーション |
研究概要 |
本研究は、三重県のサポートステーションをフィールドとし、3年間でひきこもりや無業者への支援内容とその効果の関連を明らかにすること及び、ストレス対処力を高めるための探索的研究を目的としている。初年度の平成25年度には、1.平成24年度の支援データの統計的解析、2.サポートステーションの利用者で同意された50名を対象にしたストレス対処力と就労に関する調査、3.ストレス対処講座を実施した。 1.の結果は平均年齢は28歳であり、男性が7割であった。進路決定に影響する要因の検討のために、進路決定を従属変数とし属性、進路決定と関連のあった変数を説明変数としたロジスティック回帰分析を行った。関連があったのは就業準備性と相談回数であった。相談の進路決定への効果を示していると同時に、相談回数が多くても必ずしも進路決定につながっていないことも明らかになった。相談やその他の支援・介入が、就業準備性をどう高めるのか、縦断データでの検証でより効果的な介入のあり方の示唆を得ることができると考えられる。 2.の結果は平均年齢26.2歳で女性が多く、精神健康度GHQ得点の平均点は、カットオフポイントでみると、「4点以上」の不良群は76.0%であった。ストレス対処力SOC得点の平均点は45.3点であり、一般住民の平均得点(約55-57点)と比べると低い可能性がある。また就労経験のない人の方が精神健康、健康状態も良好で、過去の就労経験がネガティブな経験になっていることが推察され今後の支援の中で検討の必要性が明らかとなった。 3.の結果はストレス対処講座を5回実施し、ストレスの正しい知識と対処法を身につけるため、グループによる意見交換を中心に行った。参加者の考え方や捉え方の変化がうかがえた。課題はアウトカムとしてSOCを用いることやアミラーゼモニターの活用方法、講座の参加継続など、今後の研修内容や方法を検討していく必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度(平成25年度)は、北勢地域若者サポートステーションをフィールドとし、1.過去2年間の実績の記録から、支援効果と支援内容、対象の特徴を統計的な解析から明らかにし、効果的支援の具体的中身を検討する。また2.サポートステーション利用者を対象として自記式質問紙調査を行い、基本的属性、支援内容とその効果及びストレス対処力SOCを調査し、実際の状況との関連をみることを計画した。 1.に関しては1年分のデータのみに限定されたが、解析を終了した。 2.の自記式質問紙調査は実施し平成25年度分は終了したがデータが50名分とやや少なく今後も継続予定であるが、計画分については予定通り実施できている。 さらに1.2の予定に加えて実際にストレス対処講座を5回実施し、実際の利用者から現状や今後のニーズについても意見をきくことができており、2年目に向けて効果的な準備ができたといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は初年度で得られた結果とその解析から明らかとなった効果的支援を、サポートステーションで実際に展開し介入研究を行う。 昨年の5回の研修会の参加状況、参加者のニーズを活かし、今年度は2日間連続で系統的に内容を組み立て、ピアグループのグループワークを基盤として組み立てる。研究協力者に対しては参加前後でストレス対処力(SOC)、精神健康度(GHQ)、唾液アミラーゼの変化をみる。さらに研究協力者の意見や感想をグループワークや振り返りでの発言の内容の収集や必要時はインタビュー調査を行い、質的にその内容を分析する。実際のグループワークの参加がストレス対処力や精神健康度を高め、就労への準備性が高まるのか、あるいはストレス対処力が高まると就労への準備性が高まるのかを検討するとともに、さらに効果的な支援方法を開発する基礎資料とする。 平成26年度のサポートステーション利用者に就労支援に関するアンケート調査を継続実施し、就労と属性、ストレス対処力(SOC)、精神健康度(GHQ)、就労への準備性等の関連について分析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はサポートステーション利用者にアンケートを実施しており、個別郵送回収を実施している。そのため郵送費(代金後納郵便)の支払いに対する予備費を見込んでいた。 平成26年度も引き続き、サポートステーション利用者を対象としたアンケート調査を継続して実施する予定である。そのため個別回収のための封筒の作成や郵送費を見込んでいる。また、サポートステーション利用者を対象とした、ストレス対処の集中講座をを計画している。会場は市内主要駅近くの会場を予定している。会場費、研修実施、運営のための費用を見込んでいる。類似の取り組み先進的な取り組みの見学や、効果的なグループを展開していく上での研修会への参加を予定しており、研修費、交通費を見込んでいる。 また、インタビューの実施、アンケートの継続実施を予定しており、データの整理、入力費用を見込んでいる。 今年度は初年度に得られた結果の学会での発表を予定しており、そのための予算を見込んでいる。
|