①内容:関西学院大学梅田キャンパスにて毎月ベースで研究会を開催し、社会福祉・ソーシャルワークの社会的企業化に関する文献資料を検討した。2015年8月7日から29日に、イギリス調査を行った。12日には、高齢者ケアの動向に関してスキルズ・フォー・ケア、14日には、高齢者ケアと地域包括ケアに関してロンドンのランベス区高齢者福祉部、16日には、社会的企業トパーズ、20日には、ランベス自治体戦略に関して同区戦略本部、22日には、イギリスのソーシャルワークの現状に関して再び社会的企業トパーズからヒアリングを行った。11月20日から22日に、ディー・ケンプ氏を日本に招聘し、20日に兵庫県芦屋市役所で講演会「イギリスの新しい高齢者ケア―自治体とTOPAZのパートナーシップ」を開催し、21日に関学梅田キャンパスにて「ロンドンおよびランベスの高齢者の生活実態」、22日に関学梅田キャンパスにて「イギリスの地域包括ケア」の講演会を催した。 ②意義:トパーズの利用者は軽度のニーズを持つ者で、サービス領域は公的サービスの周辺に位置している。この点で、介護保険制度の新総合事業と重なる部分がある。本研究から得られた知見は、(準)市場と非市場の要素を併せ持つ社会的企業の機能が新たなサービス分野を開拓するのに適しており、新福祉多元主義の要素を示していたことである。 ③重要性:緊縮財政下のイギリスで、トパーズによるアウトリーチ型の相談業務、住民を孤立させないコミュニティワークは日本にとって参考事例となる。ただし公私関係からすれば、サービス体系のコアを社会的企業にアウトソーシングするのではなく、新たな開拓分野にその活動を当てて、成果をあげていることに留意する必要がある。
|