研究課題/領域番号 |
25380817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
加藤 曜子 流通科学大学, サービス産業学部, 教授 (90300269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネグレクト / 多機関間連携 / 要保護児童対策地域協議会 / 若年親 / 青少年 |
研究概要 |
本研究の目的は、ネグレクトで育った10代(親になる子どもも含む)に対する支援ネットワークに視点をあて、その課題と効果の検証をしていくことにある。まず初年度の取り組みにおいては、多機関間連携を念頭においたネグレクト家庭への支援への状況を提供している先進国に学ぶことにあった。というのも、平成21年~23年度の研究事業において報告したように、ネグレクト家庭は地域にあっては、10代後半の子どもへの支援は届きにくい状況にあり、虐待連鎖を防ぐため、どのような支援体制があるのかを学ぶためである。実際に訪問した国は英国およびニュージーランドであった。英国においてはケンブリッジ州の取り組みを学んだ。 英国においては、ネグレクトへの研究や対応が進められており、LSCB(Local Safegurding Chidren Board)で地域に役立つ手引書が発行され、調査を実施していることがわかった。また多職種が参加する研修を受ける機会を得ることができた。時間的制約のため、ネグレクト研究の第一人者のHowarth教授からのヒヤリングを通して「子どもからの声」を聞く重要性のある点、多職種間連携と研修が重視されている点は理解できた。またニュージーランドも短期間であったが、妊娠期から幼児期までにどのような支援状況にあるのかを調査した。若年妊娠を含め妊娠期から助産師や医療機関が生後にかけて途切れない援助や、帰宅後も母子保健、保育を含めた地域での支援が強化されていた。また我が国とはシステムが異なり、NPOが数多く病院や市と連携をし、社会資源としてつながっていた点であった。 ネグレクト事例については、早期介入に効果があるタイプと、慢性化しやすいタイプに分かれ、支援ネットワークとしてどのようにかかわることができるのかのいくつかのヒントを得ることができた。次年度の調査研究にいかしていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外については時間的な制約もあり、十分な調査時間を取れなかったが、実際に現地に出向くことで、実態をみることができ、一定の収穫を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
先進国の研究や調査を通して得た知見をもとに、今年度は我が国における10代のネグレクト家庭への支援実態を検討をする。我が国においては、ネグレクトで育った10代の親へは、特定妊婦としてネットワークの支援対象者とされ、10代の青少年においては慢性的なネグレクト家庭で把握されている。しかし、効果的な支援ができているのかといえば、効果があるとは言い切れない部分も多い。慢性化されたままで、大人になる可能性も多い。そうならないための、ネットワークの支援類型を提出した。提出したが、10代の親やネグレクト状態にある10代の青少年にあてはめた場合、どのような点に困難点や課題があるのかが十分に明らかになっていない。 よって、要保護児童対策地域協議会の実務者会議に参加する機関(学校、保健、精神保健、児童家庭支援センター、市、児童相談所など)から個別にそれぞれの支援や予防への実際について個々別に半構造化面接を試みたい。またそれぞれの機関が機関連携を通じた支援の在り方について、どのように認識しているのかを明らかにしたい。違いや困難点や解決点が共有されることで、ネットワーク(多機関間連携)の支援が推進され、それが虐待予防や連鎖に貢献できるのではないかとの仮説をたてるからである。 特定妊婦からの支援の在り方、10代の青少年への支援の在り方について、それぞれのかかわる研究協力者からの知見を得たうえで、調査項目や、方法をさらに、精査していく。 今年度は、先進的な要保護児童対策地域協議会の実務者会議の各機関への個別インタビューをまとめることで、3年目の調査へ活かせればと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
第1回の合同研究協力者会議を実施いたしました。しかしながら、今年度冬季の雪等により、東北からの研究者が出席が不能となり、さらに九州からの研究者が当日急病のために、欠席となりました。 よって、当初予定していた交通費を消化することができなくなったことが主たる原因であります。 今年度においては、研究協力者会議を6月1日に予定しており、東北および九州からの協力者の出席が可能となりました。さらに協力市からの参加についても、交通費代として計上することができます。今年度におきましては、国際学会もあり情報をさらに豊かなものとして海外調査報告をまとめる予定でおります。
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