(目的)要保護児童対策地域協議会(虐待防止ネットワーク・要体協と略す)の10代の被虐待児を扱う支援は、実務者会議で取り上げることは少なく、実態がみえにくい。本研究ではネグレクトを背景にもつ10代の親への取り組みを中心にその実態把握をする。要対協・調整機関の活動内容の実態調査分析は本研究が初めてである。 (方法) 25年度は先進国として英国、ニュージーランドから当事者参加や支援の基本を学び、26年度は4市実務者会議36名からの調査を実施し、支援課題を得た。27年度はそれらを踏まえ、母子保健及び、要対協・調整機関をそれぞれ対象にした全国調査を実施した。調査対象を10代特定妊婦にしたのは、親も子も要体協支援対象になり虐待連鎖を防ぐ重要な時期ととらえたからである。 (結果) 10代特定妊婦の効果的な支援ネットワークは①母子保健・医療機関からの要対調・整機関連携で養育支援体制が整えられた。②個別ケース検討会議で当事者・家族が参加し家族力が高まった。③社会的養護利用は児童相談所によるが、母子保健や要対・調整機関連携で進められた。④学校との連携では学校復帰・継続を含めていた⑤経済的困窮問題には生活保護の連携で助産制度や手当などをうける手続きに同伴するなどで促進された。⑥無所属の10代の場合、自分の親から離れ居所不安定となりやすいため母子生活支援施設を含む関係諸機関との連携が想定されていた。⑦学校継続や育児負担軽減のため保育所連携がされた、にまとめられた。 課題は①高校においては妊娠発覚で退学になる例もあり連携のしにくさがある。②ネグレクト状態にいる10代親の場合、経済的、家庭的問題があり養育支援者が十分でない場合も多く、出産後の長期支援対策必須である。ネグレクト状態の10代親の新たな支援ネットワーク図を提案し、3世代にわたる支援図を提案した。
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