研究課題/領域番号 |
25380820
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡本 宣雄 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (40412267)
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研究分担者 |
滝口 真 西九州大学, 健康福祉学部, 教授 (20258635)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スピリチュアリティ / 社会福祉 / 高齢者 / 死生観 / キリスト教 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、本研究のスピリチュアリティの概念の研究を踏まえ、国内外の社会福祉実践の活動及び研究に焦点を当て考察を行った。また、高齢者の生活上のスピリチュアルなテーマを質的研究により分析と考察した。さらに、高齢者を対象とした余暇活動支援への応用の可能性を探索した。これらの研究により、以下の成果を得ることができた。1.昨年度のドイツ及びスイスのディアコニー事業団の視察と調査の結果を踏まえ、日本国内におけるディアコニー事業団に関する研究を行った。その結果、ケアにおけるスピリチュアリティの体現には、ケア従事者に隣人愛の精神がその人格において涵養される必要があり、この事業の歴史において、スピリチュアリティを鑑みた福祉活動の動機となり展開してきたことが明らかになった。(学術論文で発表)2.高齢者が生活上経験するスピリチュアリティなテーマについて、「生きる意味に関する質的調査」により得られたデータを分析し、その結果、以下の6つのカテゴリと23のコードが抽出された。この調査の分析と考察により、スピリチュアルアセスメントのツール開発の基礎データを得られたことは有益であった。(学術論文で発表)3.特別養護老人ホームにおける障害高齢者への余暇活動歴に焦点をあてた支援の実施について、活動参加意欲が低下した生活状況にある高齢者への援助計画を策定し、ストレングス視点及びエンパワメントアプローチの視点より、環境整備を行いつつ援助実践を試みた。さらにモニタリングを継続することで効果測定に基づく評価を実施した。その結果、障害高齢者の生きる意味と関連し、活動参加への志向や動機につながるスピリチュアリティを捉えた支援は、ストレングスやエンパワメントに導かれる可能性を有することが示唆された。(学術学会で発表)以上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
25年度から27年度の研究にて、スピリチュアリティの概念の考察、スピリチュアリティに考慮した国内外の福祉領域でのケア実践の考察、高齢者の生活上のスピリチュアルなテーマの質的調査による抽出等にて、高齢者の支援に向けたピリチュアルアセスメントのツール開発の基礎データを得ることができ研究は概ね進行している。 しかし、27年度、特別養護老人ホームで、高齢者のスピリチュアルケアに関し、アセスメントを通した宗教、職歴、家族構成、趣味等との関係について継続的に参与観察並びに職員による評価を実施していたが、その途中で、調査対象者の重篤による病院転移、併せて、ADL低下に伴う要介護度の重度化等で研究計画の見直しが必要となった。よって、これらが要因になり本研究課題の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年延長後、平成28年度は、本研究の最終年度となる。スピリチュアリティの概念、スピリチュアリティに考慮した国内外の福祉領域でのケア実践の考察、質的研究により抽出された、高齢者の生活上のスピリチュアルなテーマの内容を精査し、福祉現場で使用可能なアセスメントツールの試案を作成する。併せて、特別養護老人ホームにおける障害高齢者への余暇活動歴に焦点をあてた支援におけるスピリチュアリティの機能について考察する内容の研究を継続し、この成果を研究発表や論文で発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
差引額は、主に研究分担者の研究上の活動における支出が、当初計画よりも少なくて済んだためである。併せて、研究分担者が予定していた特別養護老人ホームにおける現地調査が、調査者の体調等で実施ができなかったため、そのための支出がされなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
社会福祉分野におけるスピリチュアルアセスメントの文献研究に必要な書籍・資料・物品の購入、学会発表の参加費用、現地調査費用、最終年度として本研究の研究成果をまとめる物品費用として使用する。
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