研究課題/領域番号 |
25380824
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
益満 孝一 筑紫女学園大学, 人間科学部, 教授 (40296372)
|
研究分担者 |
西原 尚之 筑紫女学園大学, 人間科学部, 教授 (50316163)
猪谷 生美 久留米大学, 医学部, 講師 (70331808)
潮谷 恵美 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70287910)
稲富 憲朗 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (60636611)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 乳幼児 / チームケア |
研究概要 |
本研究は,(1)児童虐待,発達障害,愛着障害,未熟児等で困難を抱える乳幼児への生活支援の課題,(2)乳児院から児童養護施設等への措置変更に伴う子どもの環境移行の問題と課題を明らかにして(3)包括的な保健福祉支援により予防的介入や発達保障支援の在り方を明らかにする研究である。本年度の研究成果は,第1に乳児院で分担研究者と事例検討会(月3回,30回)によるスーパーバイザーとしての研究活動および分担研究者による研究協議により,上記(1)の乳幼児の生活支援課題を明確化することができた。個別支援計画,養育計画の作成過程において,保育者との愛着関係,発達検査,発達・発育等に関して,乳幼児の保健福祉的ニードと,保育士の関わり方などについて助言指導を行うことで,乳幼児の健全な発達促進,子ども同士の関係の促進,家族再統合への保育士のあり方についての支援,発達障害および知的障害,および疑いある子どもの措置延長についても効果を発揮し,子どもの健やかな発達保障ができた。この措置変更に伴う課題も明らかになった。 第2に乳児院・児童養護施設の5施設合同の心理士勉強会に参加し,上記の(2)の措置変更に伴う子どもの環境移行の問題と課題について,子どもの事例研究をもとに検討し明確化できた(月1回,10回)。以上の研究活動から得られたことをもとに,研究分担者とH26年度に実施する調査項目を精査している。 第3に,本研究活動で得られた知見を研究者が招聘された研修会(九州乳児院職員研修会,特別養子縁組研修など)の内容として提示して実効性のある「保健福祉支援プログラム」の開発に取り組んだ。また,このことにより受講生と研究テーマについての情報交換,さらには研究協力も得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,(1)児童虐待,発達障害,愛着障害,未熟児等で困難を抱える乳幼児への生活支援の課題,(2)乳児院から児童養護施設等への措置変更に伴う子どもの環境移行の問題と課題を明らかにして(3)包括的な保健福祉支援により予防的介入や発達保障支援の在り方を明らかにする研究である。 上記の(1)~(3)について調査研究協力施設,団体の研究支援も有り,おおむね順調に本研究における基礎的データは揃っている。 得られた研究成果は,研究者が招聘研修などで受講生に公開し,実効性のある「保健福祉支援プログラム」を構築する手法で行った。受講生からも,施設機関などで有効であると評価がある。 今後,得られた成果をアンケート調査として集約し,実証性の高いものにする必要がある。このアンケート調査の項目など協議が遅れている点が,「おおむね」という評価にした理由である。なお,全国レベルの研修会参加による情報交換,協議をとおして効果的福祉実践プログラムモデル形成評価研究などに参加し,実践現場で有効なプログラム開発の必要性を強く感じた。
|
今後の研究の推進方策 |
1.児童養護施設・乳児院の事例研究などによる課題の概念化 第1に乳児院で分担研究者と事例検討会による研究活動および分担研究者による研究協議により,乳幼児の生活支援課題の概念化する。第2に心理士勉強会などによる措置変更に伴う子どもの環境移行の問題と概念化を図る。 2.全国の児童養護施設・乳児院へのアンケート調査(以下,全国施設調査) 乳児院と児童養護施設を対象にした措置変更に伴う子どもの環境移行の問題と課題についてのアンケート調査による全国施設調査である。 (1)調査対象:全国の児童養護施設,乳児院に調査票を郵送し回収する。回収率について,乳児院はこれまでの実績から約80%,児童養護施設は同様の調査結果を参照し約30%を予定している。(2)調査方法:全施設にアンケート調査を配布して,主任等にアンケート調査を回答してもらう。(3)調査票:調査票は施設職員(主任等)に自記式で記入をお願いする。また,「縦断研究」の調査研究について,施設長に対して乳児院と児童養護施設の併設施設に調査協力の依頼を行う。(4)調査内容:調査票の内容は,研究代表者が研究分担者等と協議して,初年度の研究成果を踏まえて作成する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
分担研究者のなかに,当初予定より校務と他の研究で多忙となり,予算の消化が予定どおりにならなかった。さらに,他のテーマでの学会発表も2本となり,本研究の予算の消化が予定どおりにできなかった。次年度は予算の消化に留意するようお願いしている。 次年度,本年度分も含め,本研究に寄与する形で予算執行を計画している。
|