研究課題/領域番号 |
25380828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
松山 光生 九州保健福祉大学, 保健科学部, 准教授 (90389586)
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研究分担者 |
大橋 徹也 九州保健福祉大学, その他部局等, 研究員 (40632055)
藤田 和弘 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (90015876)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 介助者 / 障がい者 / パーソナルアシスタンス制度 / 職場内研修 / 対人技能評価 / 「権限の譲受」スキル |
研究概要 |
本研究では、パーソナルアシスタンス制度を視野に入れ、介助者の意欲や動機づけを高め、職場内研修における自己研鑽の成果を可視化する自記式の対人技能評価シートを開発する。この評価シートは、①障がい者とのトラブル、②カウンセリングマインド尺度、③介助者の「権限の譲受」スキル尺度の3側面から成る。介助者の「権限の譲受」スキル尺度に関して、本年度は、スキルを定量的に測定する尺度を開発するため、身体障がい者(利用者)1名と介助者2名を対象に、介助場面における「権限の譲受」スキルについて、PAC(個人別態度構造)分析を通して質的調査を行った。その結果、がい者と介助者の共通点として、連想項目のイメージの大部分がプラスであった。これは、権限委譲や権限の譲受を肯定的に捉えられていることが示唆された。一見、障がい者の自己決定とは相反するが、現場ではこれらが合理的に使用されていると推測された。その反面、マイナスイメージが散見されたことから、権限の譲受には促進要因と阻害要因があることが示唆された。 障がい者と介助者では、クラスター各々に、異なる介助項目が含まれていた。このことは、介助場面によって、権限委譲の種類や程度が異なり使い分けられていることを意味していた。松山ら(2013)は、権限委譲を4つに分類されると報告している。権限の譲受にあって、介助者は場面によって方略や程度を変えることが要求されると考えられる。 介助経験の異なる介助者2名を比較すると、経験が浅い介助者は具体的な介助項目が挙げられず、連想項目が少なく比較的単純な構造を示した。経験豊富な介助者は具体的な項目を挙げて、その構造が複雑、多様化し、階層性を有することが推察された。 本調査で得られた3つの知見を踏まえ、定量化する尺度の開発を進めていくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、現在継続中の質的調査結果に基づいて質問紙を作成し、その項目の適否を検討するため、予備調査で介助者および研究者による内容的レビューを受ける計画であった。質的調査を終了し、現在、予備調査用質問紙を作成しつつある。したがって、質問紙を完成した後、内容的レビューを目的にした予備調査を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、予備調査を実施し、内容的レビューを受け、謝金を支払う予定ある。その後、今年度の計画どおり、予備調査の結果を鑑み質問紙を修正した上で、自立生活センターに所属する介助者400名を対象に、郵送による調査を実施する。その結果に基づいて、信頼性と妥当性の統計学的検討を行う計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
介助者の「権限の譲受」スキルに関する質問紙作成のための予備調査(内容的妥当性の検討)の一部が実施できず、研究者及び介助者15名に謝金としての予算が執行できなかった。 次年度、研究者及び介助者15名に対して予備調査を計画どおり実施した後、本調査に移る予定である。
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