研究課題/領域番号 |
25380832
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研究機関 | 中部学院大学短期大学部 |
研究代表者 |
高野 晃伸 中部学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60512879)
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研究分担者 |
後藤 真澄 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70301710)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 介護教育 / 災害 |
研究実績の概要 |
本研究は「災害時の介護教育」の教育内容・方法を構築・開発し、災害時の基礎教育プログラムと現任教育プログラムを試案と共に、有用性を検証することを目的としている。そこで、平成26年2月に発行された災害介護教育の書籍を活用した災害介護教育を実施し、その有効性の検証に着手をしている。現在、教育プログラムの検証対象は、介護福祉士国家資格の取得を目指している養成校(4年過程)の学生で、教育プログラム受講前後にアンケート調査を実施し、養成校で求められる災害介護教育の基礎教育プログラムの内容について検証を行った。また、災害発生時に介護福祉士養成校との連携が予測される近隣の介護福祉施設や訪問介護事業所や通所介護事業所など介護福祉サービス事業所319ヶ所を対象にアンケート調査の実施をおこなった。さらに、東日本大震災を含むこれまでの自然災害で、要介護者に対する支援活動をおこなった福祉関係者および保健師・看護師などの取り組みや役割、および連携についての活動内容、また求められる教育内容などを記した論文や文献を通した調査をおこなっている。 しかし、前年度からの研究計画の遅れにより研究の進捗状況は不十分であり、平成26年度に成果発表を挙げることは出来なかった。このため次年度には、これまでの成果を早々に発表すると共に、研究の継続により災害介護教育プログラムの有効性を評価することで、介護福祉現場および介護福祉士養成校それぞれに沿った教育内容の構築を示す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた研究計画は、災害介護教育の書籍作成が予定以上に時間を要してしまったことと共に、所属研究機関における業務のバランス調整不足により、平成25年度から遅れが見られている。そのため平成26年度は前年度研究計画をスライドさせて実施をおこなった。しかし、十分に計画を実施することが出来ず現在に至る。平成26年度の計画では、1、教育関係者、介護福祉関係機関などとの意見交換により、教育プログラムの内容・方法に関する妥当性、有用性の検討。2、介護関係団体に対するアンケート郵送調査により災害介護に対する現状と課題について把握。3、文献調査による介護福祉士の役割および連携についての検討。以上の3つを目標とされていたが、その中で2はアンケート範囲を当初計画の全国から、実際に震災が発生した場合に密接な連携を図ることが予測される大学近郊とし、さらに対象を福祉施設に留まらず、介護福祉サービス事業所として実施をおこなった。また3については継続的に取り組みをおこなっており、最終年である平成27年度の研究計画につなげることが出来ている。しかし1については、日程調整が上手くいかず、十分に実施することことができなかった。こられについて、次年度にスライドして計画を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に実施した介護事業所に対する「災害介護教育」に関するアンケート調査の結果を踏まえ、シンポジウム・研修会を年内に開催する。ここでは、これまでの研究成果を発表すると共に、災害介護に関わる有識者に登壇を依頼し、介護現場職員の災害介護についての教育を受ける機会とする。さらに、そこで実施した研修の内容を参加者にアンケートの形で評価をうけ、現場で求められている災害介護教育の現任教育プログラム内容を抽出する。また、介護現場に呼びかける中で、依頼をうけた介護職員に対する災害介護教育研修を実施し、研修実施後に参加者からアンケートによる評価をうけることで、現場で求められる災害介護教育の現任教育プログラムの中身を精査する。さらに、介護福祉士国家資格の取得を目指す養成校の学生に対して災害介護教育を実施し、現場研修会同様のアンケートを実施することで、介護福祉士養成校で学ぶ学生に対する基礎教育プログラムの内容を明確にする。以上の研修プログラムは、これまでに作成した災害介護教育の同様の書籍の内容に沿っておこなうため、同じ内容で研修を行うことができる。 また、災害介護に関係する教育関係者、介護福祉関係機関などに対する意見交換を行うことで、教育プログラムの内容・方法に関する妥当性、有効性の検討をおこなう。 これらの災害に関する介護福祉士教育プログラムの評価について、印刷、製本を行う。その上で、これまでの調査において協力を得た、介護福祉養成校介護系教員、介護関連施設の教育担当者、に配布をおこなう。さらに、その成果を学会や全国大会等で報告をおこなう。この研究結果によって、「災害介護」を介護福祉士教育に位置づけると共に、万が一災害が起きた際は、災害支援チームの一員として介護福祉士が機能し活躍できるよう社会的役割を担う人材育成を図るための教育内容を明確にすることにつながる。
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次年度使用額が生じた理由 |
災害介護教育プログラムについて、その開発および有効性の検討を目的とした研究であるため、災害介護教育に関係する教育機関や介護福祉関係機関、さらに実際に災害を経験した方々との意見交換を実施する必要がある。これは、これまでに十分に実施できずにいた調査内容であるため、実施が必要であると共に、災害介護教育の有効性について介護福祉現場の職員から評価をうける必要性から、それぞれの現場に訪問をおこなう。これらの理由により出張旅費の捻出が必要となる。また、これまでの研究成果発表と共に、災害介護教育に対する現場の意見を抽出する目的で、介護現場に勤務する職員に対するシンポジウム・研修会を開催するため、旅費および登壇者への謝金が必要となる。このシンポジウム・研修会実施により、参加者からアンケートによる意見を抽出することで、現場で求められる災害介護教育の現任教育プログラムの中身を精査することにつながる。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究成果の発表と共に参加者である現場職員の意見を抽出する目的で、災害介護に関するシンポジウム・研修会を9月に開催予定である。そこでは、登壇を依頼する災害介護教育関係の有識者に対する旅費および人件費・謝金を割り振る。また、これまでの計画内容で不十分であった介護福祉関係機関や被災現場に訪問を年内にスライドしているため、遅れた研究の実施を速やかにおこなう必要があるため、特に旅費について使用が予定されている。 以上の研究活動にかかる経費として、調査研究にかかる各備品など消耗品をその都度、購入を予定している。
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