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2013 年度 実施状況報告書

日本における児童虐待ケースに対する区分対応システムの開発的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380835
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸女子短期大学

研究代表者

畠山 由佳子  神戸女子短期大学, その他部局等, 准教授 (60442331)

研究分担者 有村 大士  日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (90712068)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード開発的研究 / 子ども虐待 / 区分対応システム / Differential Response
研究概要

本研究の背景として、増加を続ける虐待対応件数は、人口1万人当たりの対応数では、実際は児童相談所よりも市町村のほうが多く、全児童虐待ケースの9割が在宅ケースであり市町村が継続的支援を続けているという現状からも市町村は児童虐待対応において重要な役割を担っている。しかし、この新しい役割によりこれまで市町村が家庭児童相談室を中心に地域に住む家族に行なってきた生活に基盤を置いた包括的な支援がしづらくなってしまい、安全確認という名の「生存確認」のみに奔走されてしまっている現状がある。増え続ける児童虐待相談対応ケースに対して、一辺倒の介入的な対応を行なうことは、親子分離を必ずしも要しない低リスクケースがうまく支援につなげるチャンスを失ってしまう。このことから、通告受理後に初期対応も含めたその後の対応の区分を行なう日本型の「区分対応システム」の開発が重要かつ緊急に必要とされている。
本研究は3年間での開発的研究を予定している。最初の2年間で、日本での現状把握を①現状把握のための質問紙調査、②事例についての聞き取り調査、③枠組みの原型モデルとなる北米での区分対応システム(Differential Response)の実践に対する現地調査、を行い、最終年度で④先の2年間の調査結果を反映させた「区分対応システム」のたたき台案を完成させる予定である。本研究の最終成果物である「区分対応システム」たたき台のデザインはワーキンググループを中心に行い、まずは政令指定都市・中核市での試行が可能なモデルを完成させ、次段階にて、試行および市町村の規模による「誂え」につなげていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の計画について、全国市町村と児童相談所を対象に質問紙調査を行なう予定であったが、ワーキンググループでの検討により母数の多い市町村の調査をまず行なうことにより、市町村の意思決定の傾向を把握した上で、2年目の初めに児童相談所を対象とした調査を行なうことにした。
北米での現地調査については、ニューヨーク州ソフォーク郡およびニューヨークシティ、イリノイ州シカゴ、およびカリフォルニア州での区分対応システムの実施について調査を行い、当初の計画よりも充実した調査が実施できた。
また市町村と児相から経験の豊かな実践者のメンバーからなるワーキンググループにおける研究会についても3回開催することができ、グループ内での全体の研究目的とその計画に対する理解を十二分に図ることができた。また初年度の質問紙調査についても調査デザインおよび質問項目について詳細にわたって検討を行なうことができた。次年度においては、ワーキンググループとともに、国際学会における公募シンポジウムおよび研究発表を予定しており、研究結果の発表についても順次行なっていく準備を進めている。以上の点より、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

2年目の計画については、まずは児童相談所に対する質問紙調査の実施を研究分担者の有村大士氏の総括の元、早急に行なう予定である。その分析と考察をワーキンググループ内で行なうと共に、2年目の計画である事例研究による内容分析調査について当初は政令指定都市と中核市を対象とすることになっていたが、実際に事例に関する対応を聞き取る調査であるため、協力を要請して承諾してくれる市町村と児相のペアが必要である。ワーキンググループメンバーにも聞き取り調査に調査員として協力してもらう。また引き続き、ワーキンググループでは質問紙調査および聞き取り調査の分析およびたたき台作成への結果の反映に対して協力していただく予定にしている。
北米への調査については、2年目は今まで対象とした州とは違うシステムを持つノースカロライナ州における複数トラックを持つDifferential Responseの現地調査を行なう予定であり、受け入れの承諾もいただいており、最終調整中である。

次年度の研究費の使用計画

当初予定していた児童相談所に対する質問紙調査実施が次年度に持ち越されたため、それに伴う印刷費・郵送費・謝金などが次年度使用額として持ち越されることとなった。また、海外調査においても、宿泊費等の経費を予定額よりも削減することができ、ワーキンググループによる研究会の実施についても、メンバーの協力のおかげで県庁舎や市庁舎などの賃料無料の会場にて実施をすることができたことも次年度使用額が生じた理由である。
児童相談所に対する質問紙調査実施に伴う印刷費・郵送費・謝金などに使用する予定である。また、国際会議の発表(アメリカ・ワシントン州シアトル)が確定しているためその渡航費用にも一部を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] アメリカでの DR モデルの展開と『子どもの最善の利益』2013

    • 著者名/発表者名
      畠山 由佳子
    • 雑誌名

      世界の児童と母性

      巻: 75 ページ: 76-84

  • [学会発表] Aiming to Go Beyond Child Abuse: The Struggle to Develop Differential Response in the Japanese Child Welfare System2014

    • 著者名/発表者名
      Yukako Hatakeyama
    • 学会等名
      the 9th Annual Differential Response Conference
    • 発表場所
      Seattle, Washington, USA
    • 年月日
      20141111-20141114
  • [学会発表] 北米におけるDifferential Response実践

    • 著者名/発表者名
      畠山 由佳子
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第19回学術会議信州大会
    • 発表場所
      信州大学
  • [学会発表] 市町村・児童相談所における子ども虐待対応システムのあり方:日本におけるディファレンシャルレスポンスの援用

    • 著者名/発表者名
      畠山 由佳子、有村 大士、伊藤 徳馬、笹井 康治、田代 充生、土橋 俊彦、吉田 恵子、渡邊 直
    • 学会等名
      子ども虐待防止国際会議 名古屋 2014
    • 発表場所
      名古屋国際会議場

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公開日: 2015-05-28  

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