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2014 年度 実施状況報告書

日本における児童虐待ケースに対する区分対応システムの開発的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380835
研究機関神戸女子短期大学

研究代表者

畠山 由佳子  神戸女子短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (60442331)

研究分担者 有村 大士  日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (90712068)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード子ども虐待 / アメリカ合衆国 / Differential Response / 区分対応システム
研究実績の概要

本研究の目的の焦点は、増え続ける児童虐待対応ケースに対して、早期発見・安全確認の後の展望について、支援につなげる部分が未だ脆弱である点に着目し、通告相談対応から支援につなげる対応を備えた「区分対応システム(Differential Response)」を開発することにある。本研究の特色として、市町村・児童相談所・研究者の3者の異なる立場、また人口規模の異なる地域から研究チームを構成し、現場の実情を把握することを当初の目標とし、市町村に対しての質問紙調査と先駆的な取り組みをしている市町村へのヒアリング調査、事例の内容分析調査を本年度は実施してきた。
またDifferential Responseの実践について、アメリカ合衆国での先駆的な取り組みを現場で関係者に直接ヒアリングをし、訪問同行や会議への同席などの参与観察を行うことにより、資料のみからではない「生きた情報(Active Data)」を収集することができた。これらの実績を踏まえて、研究会でのたたき台の検討や学会発表の場において大変意義のある討論ができると考える。
本年度は最終年度であり、最終成果物である「区分対応システム」のたたき台を政令指定都市を対象として考案することを目的としているが、この2年間の成果に加え、最終年度での調査結果を加えて充分な検討を行うに足りるエビデンスが収集できると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目の計画については、分担研究者である有村大士氏の総括のもと児童相談所を対象とした質問紙調査を行う予定であったが、本年度行った市町村の統計的処理を進めていく段階で、当初予定していたような分析方法では解釈が難しく、さまざまな解析方法を試しながら、慎重な分析を行った結果、当初予定していた平成26年度半ばから、後半にずれ込む形となってしまった。分析結果を踏まえたうえ、質問紙項目を再検討させた上に調査を実施するため、平成27年度の前半の児童相談所への調査実施をワーキンググループでの検討の上、決定した。また、事例の内容分析についても、対象を政令指定都市に絞ることにし、質問項目を選定し、まずは協力の承諾を得た2市についての調査を開始した。
北米での現地調査については、ノースカロライナ州でのDifferential Response実践の調査を行い、現地2郡においてヒアリングおよび訪問同行・ミーティング同席などの参与観察における詳細な生きた情報を得ることができた。
質問紙調査等については、若干の遅れも見られながらも、その他の調査予定については、おおむね予定通り進行しており、国際学会への口頭発表および公募シンポジウム、報告書作成など研究成果の公表については、当初の計画以上の進展が遂げられた。ゆえに、全体的には結果としておおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

本年度については、まずは事例の内容分析調査をさらに3-5市に実施することを予定している。また児童相談所に対する質問紙調査の実施を研究分担者の有村大士総括のもと、早急に行なう予定である。また事例の内容分析調査を実施してみて、あくまでも市としての組織的な意思決定分析を明らかにするものであり、支援の内容の部分については把握が難しいことが明らかとなったため、実際の市町村での支援の現状を明らかにするため、研究協力を承諾してくれた市における支援状況の記録を調査対象とし、支援記録に対するテキストマイニング調査を行なうことで、「どのような支援をどのような家族に行なっているのか」の部分を明らかにすることとし、計画に加えた。
本年度の北米の調査については、民間事業所との委託にて支援型対応を行なっているアイオワ州およびアメリカ人権協会のパイロットスタディに参加して成功を収めているオハイオ州(調査受け入れ承諾済み・調整中)への調査の予定については受け入れはすでに承諾を頂き、詳細を調整中である。

次年度使用額が生じた理由

当該に予定していた全国児童相談所に対する質問紙調査が、その前段階として行った全国市町村に対する質問紙調査の分析に慎重な分析を行ったため、予定以上に費やしてしまい、実施を次年度早々に行うこととなった。また、事例の内容分析についても、まずはパイロット調査としてある政令指定都市に対して実施し分析した結果、最終目的であるたたき台作成には、事例に関する調査に加え、支援の内容を明らかにするための調査を行う必要があると判断した。よって事例の内容分析については、その対象を政令指定都市に絞り予定通りの内容を行うこととし、次年度に支援内容を明らかにするためにテキストマイニングによる支援記録の分析を追加して行うこととした。以上の理由により、予算の一部を次年度使用額として意図的に持ち越すこととした。

次年度使用額の使用計画

児童相談所に対する質問紙調査実施に伴う印刷費・郵送費・謝金などに使用する予定である。また3~5市の協力の得られる市に対して、昨年度に引き続き事例に関する内容分析のための聞き取り調査および理由に記載したテキストマイニング分析のための旅費、謝金等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「家族維持」を目的とした子ども虐待ケース在宅支援初期対応における 意思決定要因抽出のためのエキスパートインタビュー調査2015

    • 著者名/発表者名
      畠山由佳子
    • 雑誌名

      神戸女子短期大学紀要 論攷

      巻: 60 ページ: 33-48

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Aiming to go beyond child abuse: The struggle to develop Differential Response in the Japanese child welfare system2014

    • 著者名/発表者名
      Yukako Hatakeyama
    • 学会等名
      9th National Conference on Differential Response in Child Welfare
    • 発表場所
      The Westin Seattle
    • 年月日
      2014-11-12 – 2014-11-12
  • [学会発表] 市町村・児童相談所における子ども虐待対応システムのあり方:日本におけるディファレンシャルレスポンスの援用2014

    • 著者名/発表者名
      畠山由佳子、有村大士、伊藤徳馬、笹井康冶、田代充生、土橋俊彦、渡邉直、吉田恵子、
    • 学会等名
      第20回ISPCAN子ども虐待防止世界大会 公募シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋市国際会議場
    • 年月日
      2014-09-15 – 2014-09-15
  • [図書] 子ども虐待と家族支援2015

    • 著者名/発表者名
      畠山由佳子
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2016-05-27  

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