研究課題/領域番号 |
25380837
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
長沼 洋一 東海大学, 健康科学部, 助教 (60558881)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソーシャルワーカー / 業務確立 / 学生支援 / 大学生 |
研究概要 |
1)業務内容評価のための業務統計入力フォーマット様式の作成 平成25年度は、大学で学生支援に従事しているソーシャルワーカー(キャンパスソーシャルワーカー)と研究者等による任意団体である、キャンパスソーシャルワークネットワークにおいて、業務統計の在り方について検討を重ね、業務統計のフォーマットを策定した。業務統計の様式を、どこの機関でも利用しやすいようにMicrosoft Excelのファイルとして作成し、月ごとの自動集計についても汎用性の高い様式を組み込んだ。次いで、作成した様式について、複数のキャンパスソーシャルワーカーや大学の管理者等にも意見を求め、さらに修正を図った。その上で、実際にキャンパスソーシャルワークネットワークに所属するソーシャルワーカーに協力を依頼し、複数の大学で試行的に本フォーマットを用いた業務統計の入力を行った。その結果、曜日データの挿入、この使いやすさや有用性に関する試行的データ入力の結果を踏まえて、より現場での実践に適応した業務統計フォーマットを完成した。また、キャンパスソーシャルワーカーらから、障害者差別禁止法の施行により、障害学生への合理的な配慮が求められることから、特にこれまでのノウハウの蓄積の少ない発達障害学生支援に関する業務内容への関心が高まった。そこで平成25年度には発達障害のアセスメントの専門家を招いた勉強会を行い、業務統計への反映に関して論点整理を進めた。次年度以降も、様式の改良に向け検討は重ねることとする。 2)大学の管理者がみる有用性について キャンパスソーシャルワーカーの有用性について図る指標を開発するため、比較的長期にわたってキャンパスソーシャルワーカーを配置している大学の所属長及び部門長に対する調査を行う。平成25年度中に訪問調査を1カ所終え、その他については日程調整中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、当初の計画通り業務統計の入力フォーマットはほぼ完成しており、いくつかの大学でパイロット入力を行い、その結果を踏まえて改訂した。その点で、順調に進んでいるといえる。ただし、障害者差別禁止法をめぐって業務における障害学生支援の比重が高まると考えられるため、その関連業務をどの程度詳細に入力するような形式が良いのか、等もう少し検討が必要な面もある。いずれにせよ、平成26年中には業務統計入力フォーマットを用いた調査を行う予定である。 一方で、所属長対象のヒアリング調査はまだ調査を始めたばかりであり、まだ十分とはいえない。他大学の所属長を対象とする調査を継続し、速やかに評価指標の策定に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
1)業務統計について 業務統計入力フォーマットを早々に完成し、長期データの収集に取り組む。キャンパスソーシャルワーカーの勤務地や勤務内容によって入力の可否に差がみられたため、長期データの入力が難しい場合には、集計表のみの収集も検討する。いずれにせよ、何らかの形で多施設研究型の業務統計データベースの設計に着手する。 2)全国調査に向けた取り組み 障害のある学生への合理的な配慮の推進のため、各大学での取り組みはより熱心になっていると考えられることから、キャンパスソーシャルワーカーの活用に関する全国調査を改めて行う予定である。そのため、前年度より引き続いての所属長を対象とするヒアリング調査を行い、キャンパスソーシャルワーカーの有用性評価の視点を明らかにし、評価指標に用いることができるアイテムプールを作成する。その後、連携研究者らとの協議を経て、全国の大学に対する質問紙調査を行う。質問紙調査では、大学のキャンパスごとに学生支援主管に調査を行い、キャンパスソーシャルワーカーの配置の有無、設置していない場合の理由、設置している場合の目的、業務、有用性について評価を行う(大学運営の観点からの他者評価)。また同時にキャンパスソーシャルワーカーを対象に調査も行い、目的、業務、有用性について評価を行う(専門職性の観点からの自己評価)。 平成26年度には、全国調査にやや重点を置いて研究をすすめ、最終年度には二つのデータの統合を行って、より立体的な分析をおこない、キャンパスソーシャルワーカーの有用性を明らかにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に予定していたキャンパスソーシャルワーカーを配置している大学の所属長へのヒアリング調査が、年度を超えてしまったため、その分の費用が次年度使用額として生じたためである。 1)業務統計入力フォーマットを完成するための会議費及び協力者謝金に支出する。 2)当初の予定通り、キャンパスソーシャルワーカーの所属長対象のヒアリング調査を行い、連携研究者との会議を経てその結果に基づき質問紙調査票を作成する。障害のある学生への合理的な配慮の推進のため、各大学での取り組みはより熱心になっていると考えられることから、キャンパスソーシャルワーカーの活用に関する全国調査を改めて実施する。全国の大学のキャンパスの学生支援主管に対する質問紙調査とキャンパスソーシャルワーカーを対象とする質問し調査を行い、それぞれの視点から配置状況と配置目的、業務、有用性について評価を行う。研究費は調査票印刷費、郵送費、データ入力費に用いる
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