初年度の先行研究整理およびキャンパスソーシャルワーカーや管理者へのヒアリング調査に基づき、業務活動内容とその業務効果がどのように評価されているのかについて整理し、キャンパスソーシャルワーカーの活動を把握するのに使える業務統計シートを作成した。また障害者差別解消法の施行を見据え、合理的な配慮の提供のためにソーシャルワーク専門職を配置する大学もあることから、2年度目にはキャンパスソーシャルワーカーおよび障害学生修学支援コーディネーターの活用実態に関する全国調査を企画した。また2年目調査ではキャンパスソーシャルワーカー配置大学の管理者とワーカーを対象に調査を行い、ワーカー自身には活動の振り返りと自己評価を、管理者には配置した経緯や活動目的、評価と課題を挙げてもらうよう依頼した。調査は2年度末までかかり、分析は最終年度に行った。キャンパスソーシャルワーカーの配置は3年前と比べてほぼ倍増していた。長期的に雇用されているものは少なく、過去数年以内の雇用が多かったことから非正規有期雇用の職員が多いと考えられた。主たる業務内容は学生および家族への個別支援と発達障害のある学生への支援であった。キャンパスソーシャルワーカーの配置により、学内での連携体制が強化されたと評価されていた。キャンパスソーシャルワーカーがミクロレベルの実践を中心に学生を学内の支援部門につなぐ活動に従事している場合には、ワーカーの多彩な配置効果が管理者にはあまり伝わりづらいのに対し、キャンパスソーシャルワーカーが学内連携を組織化したり学外機関とのネットワーキングに熱心な場合には、管理者も配置効果を多彩に評価することが示唆された。障害学生修学支援に関しては、コーディネーターの配置大学は限られており、社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者の活用はまだ少ない状況が把握された。
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