研究課題/領域番号 |
25380849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
繁桝 江里 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80410380)
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研究分担者 |
山浦 一保 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80405141)
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20511281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会系心理学 / 上司-部下関係 / フィードバック / 組織 / 社会化 |
研究概要 |
本研究の目的は、職場で能力や行動に関するフィードバック(FB)を受けることが、職場に対する社会化を促進する効果を明らかにし、若手社員の離職や管理職のストレスの問題の解決に貢献することである。2013年度は、FBが若手社員の社会化を促進する効果およびその条件をパネル調査によって実証するために、第一波の調査を実施した。調査対象者は全国の入社1~5年目の正社員であり、インターネット調査により1443名のデータを得た。 研究計画に基づく成果の検討のためには、第二波のデータの取得後に分析を行う必要がある。ただし、第一波のデータの分析を行った結果、上司からFBを受けること(FB提供)よりも、それを若手社員が求める行動(FB探索)のほうが、若手社員の職務への社会化をより強く促進していることが示された。しかし、FB提供も若手社員の職場への適応を高める効果があることが示されている。つまり、FB探索という若手社員の個人特性と、FB提供という上司の特性が、異なるプロセスで若手社員の適応を促進していることが示唆された。以後、パネルデータによってこの点をさらに明らかにしていく。 また、20代の社員が職場で経験するネガティブな体験についてインターネット調査を行った。40名のデータが得られ、辛辣でネガティブな言動が原因で信頼関係がうまく構築できず、悪化・崩壊したと報告する者が全体の25%を占めた。ネガティブなFBがこのような悪影響をもたらさず、むしろポジティブな効果を生む条件について、検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パネル調査の第一波として十分と思われるデータを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、パネル調査の第二波および第三波を実施し、フィードバックを受けることが社会化を促進するという因果の特定を試みる。計画時点では第四波までを計画していたが、新入社員の研修期間の長さを考慮し、第一波を年度末に実施したため、調査間隔を空けるために、2014年度に第二波、2015年度に第三波を行うこととする。 さらに、上司に対するインタビュー調査およびインターネット調査を行う。若手社員の視点と上司の視点とを比較検討することで、そこに生じているズレについて、世代差の存在を含めた検討を行う。 なお、若手社員調査と上司調査が比較可能なデータとなるよう、回答者の属性や勤め先の特性をできるかぎり考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度に実施した若手社員に対するインターネット調査において、第一波の対象者数を増加させたことにより、調査会社への支払いを2014年度の経費と合わせて支払う必要が生じたため。 上記調査の支払いの一部として使用する。
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