研究課題/領域番号 |
25380849
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
繁桝 江里 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80410380)
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研究分担者 |
山浦 一保 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80405141)
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20511281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会系心理学 / 上司‐部下関係 / フィードバック / 組織 / 社会化 |
研究実績の概要 |
①若手社員に対するパネル調査第二波を実施した。対象者は第一波の協力者であり、第二波の時点で第一波と同じ上司の元で働いていた472名を分析対象とした。上司からのフィードパック頻度の増減を確認したところ、変化なしを中点として減った人と増えた人が同程度に分散していた。ポジティブなフィードバック(PF)およびネガティブなフィードバック(NF)の頻度が、部下のパフォーマンス、成長感、コミットメントを高める効果は、第一波よりも第二波のほうがやや強いことが示された。つまり、入社1年時よりも2年時のほうがフィードバックの効用が強いことが示唆された。一方、部下自らフィードバックを探索する頻度(FB探索)の効果は、第一波と第二波でほぼ同程度であった。 ②上司世代に対する調査として、インターネット調査を実施し、部下を持つ正社員男女516名の回答を得た。部下に対するフィードバックの頻度は、部下の個人特性や職務特性によって規定されいた。具体的には、部下が失敗から学習するという動機づけを強く持つほど、上司のPF頻度が高いことが示されたが、NF頻度との関連はほぼ見られなかった。上司は、失敗に強い部下に対してNFをするというよりは、失敗に強い部下を評価しPFをすることが示唆された。また、部下が負荷の高い職務に就いているほど、上司のPFおよびNFの頻度が高いことが示された。 ③上記の2つの調査を用い、若手世代(平均年齢27.2歳)と上司世代(平均年齢42.2歳)の職業価値観の比較を行った。価値観は、挑戦重視、人間関係重視、確実性重視、条件重視の4側面を測定した。若手データと上司データの平均値の差は、1~5点の回答において0.1~0.2程度であった。世代差を過剰に意識する必要はないことを示唆すると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若手社員に対するパネル調査の第一波および第二波を実施し、比較対象としての上司に対する調査も終了している。さらに、補完的なデータとして、20代の社員が職場で経験するネガティブな体験についての調査を実施し、また、目標設定の違いによる失敗からの学習程度に関する実験を大学生を対象に行った。 以上のことから、2015年度に実施予定の企業研修に必要なデータは揃っていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、これまでに実施した調査および実験の知見に基づき企業研修を行う。研修において上司に対する介入を行ったうえで、上司の意識および行動の変化を促進し、さらに部下の側にも冊子を配布し知見の提示を行う。これらの効果を介入前後の調査によって検討する。 また、若手社員に対するパネル調査の第三波を実施する。質問内容は第二波とほぼ同様のものを予定しており、第一波からの変化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
上司に対するインタビュー調査を実施しなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
パネル調査第一波の対象者を研究計画時よりも増やしたため、時年度実施予定の第三波にかかる調査費用が高くなる。よってその増額分に用いる予定である。
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