研究実績の概要 |
本研究では、さまざまな科学技術に対する、リスク認知、ベネフィット認知および事象間の概念的関連の3点について、大学生や一般市民など専門的知識を持たない人々を対象に心理学的な調査を実施し、科学技術リスクの社会的増幅(特定の科学技術に対する社会不安が,本来は科学的機序が全く異なる他の科学技術の社会不安を生み出す)に関する心理学的説明の構築を目的としている。この研究目的に沿って、これまでに大学生を対象として行った研究成果を踏まえて、今年度は、一般市民を対象とした大規模なサンプリング調査を実施する研究計画であった。 本年度、大規模なサンプリング調査を実施するにあたり、これまでに行った研究結果の分析により、特定の事象のリスク認知が概念的関連度が高い事象のリスク認知に影響する可能性を示唆する結果が得られていたものの、これまでの調査で用いた事象の数が比較的少なく、調査に用いる事象による影響を排除することができないという課題が認められことから、対象となる科学技術および調査項目の再検討を行った。これらの検討を踏まえ、一般市民を対象とした大規模なサンプリング調査では、これまでの調査で用いてきた科学技術に、無人航空機(ドローン)や3Dプリンターや人工知能(AI)など、比較的新しく社会に普及しつつある科学技術を加え、対象となる科学技術を24に増やし、それぞれの科学技術に対して、リスク認知、ベネフィット認知およびそれぞれの科学技術事象間の関連について、調査会社のモニター2,000名に対してwebを用いたアンケート調査を実施した。
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