研究課題/領域番号 |
25380861
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
土肥 伊都子 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (00298994)
|
研究分担者 |
廣川 空美 梅花女子大学, 看護学部, 教授 (50324299)
長友 淳 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (50580643)
佐藤 望 近畿大学, 社会学部, 准教授 (60268472)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | インタビュー調査 / 国際結婚 / カップル単位志向 / ジェンダーパーソナリティ |
研究概要 |
本研究は、女性が女性性に、男性が男性性に偏ること、すなわちパーソナリティのジェンダー化がみられることの日本独自の原因として、「カップル単位志向」、すなわち心理的に夫婦が社会の最小単位で、夫婦は一心同体であるとみなす傾向にあると考え、これを実証するために、「カップル単位志向」の個人傾向を測定する尺度を開発し、その傾向により、女性性・男性性の強さ、心理的健康、社会的適応などが規定することを明らかにすることを目的とするものである。 そこで、2013年度は、9月3日から9月13日にオーストラリアのメルボルンにおいて、カップル単位志向尺度を開発するための意見収集をするために、日本文化を離れて海外で生活している日本人既婚者および国際結婚した日本人既婚者24名に個別のインタビュー調査を行った。また、家族や夫婦に関する社会制度が日本と異なると、カップル単位志向も異なるかどうかについても検討した。インタビューは、一人1時間から1時間半をかけて行われ、音声記録された。それを2名で文書化し、結果を一覧表にまとめた。 さらに、文化人類学の専門家からの知識の提供を受け、東アジア諸国の家父長制を比較検討した文献や世界のシングル生活についてまとめた文献などから、日本のカップル単位志向を世界の文化の中でどう位置付けていくべきかについての考察も行った。 本年度の調査研究を通じて考察された内容は、研究代表者の著書(2014年3月31日発行)である”Gender Personality in Japanese Society" のChapter13の一部としてまとめられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査の結果にもとづき、2013年度内に「カップル単位志向」の尺度予備項目を作成する計画であったが、インタビュー調査のまとめが、予想以上に手間取り、予備調査項目が年度末には作成することができなかった。 しかし、それ以外のインタビュー調査の実施や文献研究などについては予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度は、「カップル単位志向」尺度を完成させ、2015年度に実施する予定の、カップル単位志向とジェンダー・パーソナリティ、心理的健康、社会的適応との関連についての調査のための準備をする。 具体的には、20代から70代までの社会人約千人を対象にFAX調査を行い、各年代ごとに信頼性、妥当性を満たした項目を選択して尺度を開発する。 なお、2013年度のインタビュー調査および文献研究の結果、日本は欧米の文化に比べ、夫婦の恋愛意識や夫婦同伴文化が希薄であることがわかった。すなわちカップル単位というよりも、子どもを含めた家族が単位となっていると考えた方が妥当であると思われる。そこで、今後は、カップル単位志向をあらため、「家族ユニット志向」とすることにしたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
尺度開発のための調査を、当初の大学生から、社会人対象に変更するため、業務を調査会社に委託する方針に変更するため。 大学での調査のための謝礼などを、fax調査のデータ使用料、調査実施料などに振り替える。
|