研究課題/領域番号 |
25380864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本経済大学 |
研究代表者 |
古川 久敬 日本経済大学, 経済学部, 教授 (30190143)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 創造革新性 / 創造的アイディア / 仕事イノベーション |
研究概要 |
組織集団において「創造的なアイディアや計画が生まれたとしても、それがその後に履行されないのはなぜなのか」(創造革新性パラドックス)について理論的、実証的に明らかにすることを目指している。 1 本年度は、組織集団の創造革新性について、従来のとらえ方を拡げ「製品、サービス、プロセス、手順について、新奇で、有用なアイディアを生み出すとともに、それを履行(実行)できること」とするが、従来の「創造革新性」の定義(Tagger, 2002 など)について、個人と集団レベル、そして「生成」(generation)と「履行」(implementation)とを明瞭に意識して整理を行った。 2 また、創造革新性に必要とされてきた基礎的能力(Amabile,1993)や、創造革新性を促進するとされてきた主要な「個人特性」(性格特性ビッグ5、個人意欲、経験への開放性、曖昧さ耐性、拡散的思考性など)、「集団特性」(価値観、経験、専門の多様性や類似性、チーム有能感など)、および「組織文脈」(組織風土、リーダーシップ、制度など)要因の整理と構造化を行った。そしてこれらの研究成果については、日本経済大学大学院紀要に掲載した。 3 これらの整理と構造化とともに、今年度は、創造的アイディアわ具体的な製品やサービスに仕立てていくプロセスについて、ヒアリング調査を実施した。これから得られた知見も取り入れながら、創造革新性の「生成」と「履行」を促進あるいは抑制する要因(個人特性、団特性、組織文脈要因)に関する研究仮説を構築して、26 年度の質問票調査につなげることを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
創造革新性パラドックスが生起するプロセスについて、関連する先行研究のレビューおよびヒアリング調査の成果も踏まえながら、理論的なモデルを構築することができた。 そしてまた、創造革新性に必要とされてきた基礎的能力や、創造革新性を促進するとされてきた主要な「個人特性」および「集団特性」および「組織文脈」要因の整理と構造化を行うこともできている。 ただし、今年度において、ヒアリング調査の成果を踏まえて、質問票の試作段階にまで進みたかったが、これについては少し満たせていないところがある。
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今後の研究の推進方策 |
創造的アイディアの「生成」と「履行」の度合い、それを規定する集団特性および組織文脈特性との関係性を検討するための質問票調査実施を実施する。 これについては、創造革新性と集団特性は、現在、考案開発中の測度により把握する。「創造革新性」は特に「履行」段階を明瞭に意識したものである。「集団特性」は、成員の「認知スタイル」に着目し、Miron-Spektor et al.(2011)などを参考に、「創造革新への基本的な関心」、「他者への同調・協調性」、「厳密さへの関心・こだわり」の3要素について顕著な成員の多さを指標とする。 De Dreu & Weingart(2003)の指摘する「課題葛藤」と「関係性葛藤」発生の問題も考慮し、かつ成員の創造性関連能力や課題相互依存性などを統計的に統制しながら、「集団特性」と創造革新の「生成」や「履行」(実現)との関係性を検討し、創造革新性パラドックスの発生メカニズム解明に迫る。
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次年度の研究費の使用計画 |
創造革新性パラドックスの事例収集及び質問票項目の作成に向けて行うことを予定していた聞き取り調査等について若干の遅延が生じたため。 平成26年度において、その分を適切に支出する予定
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