研究課題/領域番号 |
25380867
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柴山 直 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70240752)
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研究分担者 |
清水 禎文 東北大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (20235675)
佐藤 誠子 石巻専修大学, 人間学部, 助教 (20633655)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | IRT / 項目反応理論 / パフォーマンスアセスメント / ルーブリック / 信頼性 / 算数 / 理科 / 等化 |
研究実績の概要 |
思考力・判断力・表現力等の高度な複合的学力を育てるとされるパフォーマンスアセスメントは,その一方で,評価者の主観的な判断に頼る部分が大きいため評価結果が安定しない欠点をもつ。本年度は,小学校算数および中学校理科を例に,パフォーマンスの解釈にIRT尺度値を用いることで客観性を担保することを試みた。 具体的には,小学校算数については,第6学年児童121名を調査対象者として算数学力テスト,面積テストへの解答を求める一方,小学校担任3名にルーブリックの妥当性に関するアンケートを実施した。算数学力テストは平成18年度新潟県学力テストよりIRT分析の結果にもとづき構成し,面積課題はルーブリックによるパフォーマンス評価とした。低学力群では不適切属性に着目しがちであり面積の大小の導出が困難であること,高学力群 では具体的数値が示されていなくとも,それらの相対的な大小関係に着目して面積比較が可能であることなどが示された。また,教員アンケートの結果,作成したルーブリックについて妥当性が得られた。この成果は「算数学力評価ルーブリックの妥当性検討の試み―面積学習領域を例として―」(佐藤・柴山,2014)として発表した。 また,中学2年生については理科の学力を測る客観式調査とパフォーマンス課題の2つのテストを課した。そのデータを用いて,客観式調査については,IRTモデルにもとづく同時尺度調整法によって第1学年と第2学年の項目を同一尺度上に位置づける等化を行った。その上で,パフォーマンス課題の結果を分析すると,予備調査,本調査ともに学力のレベルが上がるにつれて着目する観点が増える傾向があることが見いだされた。この成果は「IRT尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの解釈について―電力の課題を例に―」 (柴山・千葉,2015)で印刷中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の予定はパフォーマンス課題のための評価のためのルーブリックの作成と児童生徒への実施とを併行して行い,その妥当性と信頼性の検討を行うことにあったが,いずれも予定通り遂行できた。さらにその上,本研究から派生した成果として,ラッシュモデルを拡張した線形ロジスティックテストモデル(Fischer, 1973, 1983)をカリキュラムベースに作成されたテストに適用することによって,困難度の要因はどこにあるのかを明らかにする手法(坂本・柴山,2014a,2014b)が開発できたことにより,当初の計画以上に研究は進んでいるとした。
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今後の研究の推進方策 |
収集したデータをさらに詳細・体系的に分析し,各成果をまとめ関係学会誌に投稿する。
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