研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は,発達障害児を含む学習に問題を抱える児童・生徒が,ウェブ上でワーキングメモリのアセスメントを受け,ワーキングメモリプロフィール(ワーキングメモリ構成要素の標準得点に基づき,学習における弱い側面,強い側面についての診断)を得られるツールを開発し,それを生かした学習システムを開発することである。本年度の目的は,ウェブ上で実施できるワーキングメモリの課題を作成し,その課題の信頼性・妥当性を検討し,そのソフトウェアを作成することであった。まず,ワーキングメモリの4つの側面である,A)言語的短期記憶,B)言語性ワーキングメモリ,C)視空間的短期記憶,D)視空間性ワーキングメモリを測定する課題として,それぞれ,A)単語または数字の記憶スパンの課題,B)数字の逆行記憶スパン課題,動物の大小についての文の真偽を判断しながら,動物の名前を覚えるリスニングスパン課題,C) 図形の形または線分の位置を記憶する課題,D)図形または線分の異同を判断しながら,図形の形または線分の位置を記憶する課題,を作成した。AからDの課題を大学生に実施し,以下のように,その妥当性,信頼性を検討した。第1に,AとBの課題に関して,音声で提示された数字または単語(文)を用いた課題を行い,その際,文字または絵の選択肢から指さしで回答する場合と音声で再生する場合の相関,および同じ構成要素間の課題でα計数を算出し,検討した。その結果,音声で提示し,文字の選択肢で回答する場合,音声で再生する場合と相関が高く,課題間のα計数も高かった。第2に,同じ大学生に,Automated Working Memory Assessment (Alloway, 2007)を行い,作成したA~Dの課題との成績の相関を検討したところ,高い相関が見られた。
2: おおむね順調に進展している
集団で実施できるワーキングメモリテストを作成し,その信頼性,妥当性について大学生を対象に検証することができた。
今年度作成したワーキングメモリテストを児童・生徒に実施し,その信頼性,妥当性を検証することである。
研究分担者に,研究成打ち合わせのために旅費を配分していたが,研究打ち合わせが次年度に延期になったため,その分の旅費が繰り越しとなった。研究分担者が,平成26年11月の日本教育心理学会第56回総会に参加し,研究成果の発表と研究打ち合わせを行う。
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発達心理学研究
巻: 25 ページ: 87-94
広島大学 学部・附属学校共同研究機構研究紀要
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広島大学大学院教育学研究科共同研究プロジェクト報告書
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