今年度も昨年度につづき,BigFiveの項目における社会的望ましさの影響を,項目反応理論のモデルから検討した。多値回答の項目反応理論モデルであるGPCM(Generalized Partial Credit Model)に基づいて求めた位置(困難度)パラメータを利用した,測定モデルを改変を重ね,シミュレーションデータと実データとの適合が比較的よいものができた。従来からの,社会的望ましさの影響を加算的なものと考えるモデルは比較的適切なものとなっているが,交互作用を入れ込んだモデルはうまくいっていない。平均値から1標準偏差くらいの範囲では比較的うまくいくが,高い場合と低い場合での当てはまりが良くないので,改善が必要である。 社会的望ましさの影響の検討を,気質の調査(乳児向けのECBQと前青年期向けのEATQ)でも継続している。ECBQに関しては,社会的望ましさは,養育者の子供への期待などの信念に現れることを明らかにした論文が掲載された。EATQに関しては,子ども本人の評定に社会的望ましさの影響がどの程度入り込んでいるか,小4から中3までの年代別の社会的望ましさの評定を検討し始めた。今年度の終わりには,パイロットスタディとして小規模なデータ収集を行った。この検討によって,年代別の社会的望ましさの影響の仕方の検討と反応の偏りの補正方法の開発が可能になる。
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