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2014 年度 実施状況報告書

児童期・青年期の読書活動と越境的交流の発達への影響過程の分析

研究課題

研究課題/領域番号 25380891
研究機関白百合女子大学

研究代表者

田島 信元  白百合女子大学, 文学部, 教授 (90002295)

研究分担者 宮下 孝広  白百合女子大学, 文学部, 教授 (00190778)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード読書関連活動 / 図書館教育 / 境界横断 / 越境的交流 / 認知発達 / 社会情動発達
研究実績の概要

本研究は児童期以降の読書活動の発達的変化の実態と、それが認知的-社会情動的発達に及ぼす影響について、読書関連活動に関わる家庭-学校-地域間の境界横断的交流との関連で明らかにすることを全体目的としている。
平成26年度は、昨年度実施した児童期以降の基盤となる乳幼児期と、児童期(小学生)、青年期(中学生、高校生)の子ども、生徒、学生を対象とした「読書活動質問紙」の第一次分析を行なった。その結果、まず、乳幼児期を通して読み聞かせが子どもの気分転換になったり、知識が増えたり、他者との関わりが増えるといった効用が示唆されるとともに、親の発達期待感が子どもの認知・情動的学習能力、対人的学習能力に影響を及ぼすことが示唆された。児童期、青年期においては、家族が読書する姿を日常的に目にしたり、本の内容を共有する環境があるという点では発達差は見られず、乳幼児期において読書活動の基盤ができていることが示唆されたが、読書数や図書館利用頻度などは児童期の方が青年期より多いにもかかわらず、読書の幅や質については年齢が長ずるにつれて高まり、娯楽的誘引に基づく読書から、読書の世界に主体的に入り込んでいくような読書への関わりの多様性が増加していくことが示唆された。したがって児童期には新奇性への挑戦意欲が高く、青年期になると積極的な課題解決への取り組みが高くなるということが示され、子どもの発達への影響の違いが示唆された。このような変化は家庭-学校-地域間の境界横断的交流の影響が大きいことも示唆された。
一方、生涯読書の発達的支援を目指す公的支援の調査結果からは、大きな子どもの発達への期待のもと、保育所、学校、図書館での積極的な取り組みの実態が明らかになるとともに、成果感も高いが、それだけに読書関連活動推進事業に対する現状の不満も大きく、同時に、乳幼児期からの読み聞かせの重要性の指摘が強調されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画には無かった乳幼児期の読書関連活動調査、生涯読書の発達的支援を目指す公的支援の調査を含めたため、平成25年度の質問紙調査は遅れたが、すでに報告したように平成26年度に第一次分析が終了し、現在、同時並行的に行なっている読書関連活動支援のフィールドワークなど、質的調査の分析と、上記質問紙調査結果との関連などの二次的分析を模索してところである。
また、新たな課題として、質問紙調査については、乳幼児期の調査では十分に行なわれなかった乳幼児期に見られる境界横断的活動、あるいは越境的交流の追加調査の必要性と、調査対象地域が長野県の一自治体であったため、比較対象として関東の大都市圏での調査の必要性が議論された。さらに、質的調査においても生涯読書の発達的支援を目指す公的支援の担当者への面接調査も実行する必要性が議論され、こうした問題意識の拡大・深化のために、最終年度への課題として先送りせざるを得ない部分が出てきている。

今後の研究の推進方策

本研究の最終年度の課題推進方策は以下の通りである。
(1)質的資料(支援フィールドワーク)と量的資料(質問紙)との関係性の分析
(2)質的資料として、質問紙調査結果を基に、図書館職員などに面接調査を行なう。
(3)既存質問紙調査結果の比較資料を東京都区部において収集する。
(4)乳幼児期に見られる境界横断的活動、あるいは越境的交流の追加調査を行なう。

次年度使用額が生じた理由

本年度は主として前年度の質問紙調査の第一次分析に重点をおき、最終年度に向けての最終調査計画を討議することに費やされたため。

次年度使用額の使用計画

東京における新質問紙調査(比較資料)収集に充てる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 乳幼児期から青年期に至る「読み聞かせ-読書」活動の実態と促進要因の検討2014

    • 著者名/発表者名
      田島信元・宮下孝広・大熊美佳子・岩崎衣里子・松本美幸・伊東直登
    • 雑誌名

      生涯発達心理学研究

      巻: 6 ページ: 105-142

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 乳幼児期から青年期に至る読書活動のあり方と発達との関連(1):乳幼児期における読書活動と親のかかわりとの関連2015

    • 著者名/発表者名
      奥村桃子・田島信元・宮下孝広・大熊美佳子・岩崎衣里子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] 乳幼児期から青年期に至る読書活動のあり方と発達との関連(1):児童期・青年期における読書活動のあり方の発達的変化について2015

    • 著者名/発表者名
      大熊美佳子・岩崎衣里子・奥村桃子・宮下孝広・田島信元
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] 発達を促すコミュニケーション・ツールの独自性とその効用(2):子どもの発達的変化に対応するツールのあり方2015

    • 著者名/発表者名
      田島信元・板橋利枝・宮下孝広・小谷恵・木原竜平・南徹弘
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] 読み聞かせ・読書指導を通した社会実践型発達支援の試み:発達科学的視点を基礎として2015

    • 著者名/発表者名
      田島信元・岩崎衣里子・宮下孝広・内田直人
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] 乳幼児・児童・青年期の読書活動支援のあり方と成果(1):「生涯読書」運動に向けた公的支援の実態調査2014

    • 著者名/発表者名
      田島信元・奥村桃子・宮下孝広・大熊美佳子・岩崎衣里子・松本美幸・伊東直登
    • 学会等名
      日本子育て学会第6回大会
    • 発表場所
      秋草学園短期大学(埼玉県所沢市)
    • 年月日
      2014-11-22 – 2014-11-23
  • [学会発表] 乳幼児・児童・青年期の読書活動支援のあり方と成果(2):「乳幼児期の読み聞かせと子どもの発達の分析2014

    • 著者名/発表者名
      奥村桃子・田島信元・宮下孝広・大熊美佳子・岩崎衣里子
    • 学会等名
      日本子育て学会第6回大会
    • 発表場所
      秋草学園短期大学(埼玉県所沢市)
    • 年月日
      2014-11-22 – 2014-11-23

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公開日: 2016-05-27  

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