研究課題/領域番号 |
25380891
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
田島 信元 白百合女子大学, 文学部, 教授 (90002295)
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研究分担者 |
宮下 孝広 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00190778)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 読み聞かせ / 読み合い / 親の関わり方 / 読書への取組み / 読書経験の共有 / 認知・社会的発達 / 役割間越境的交流 / 場面間越境的交流 |
研究実績の概要 |
本研究は,児童期・青年期の読書活動の発達的変化の実態と,それが認知的,社会情動的発達に及ぼす影響について,児童期以前の乳・幼児期,児童期・青年期以降の成人・中高年期との関連,および,読書関連活動にかかわる家庭―学校―地域間の境界横断的交流との関連で,面接,質問紙法を通して明らかにすることを全体目標としている。本年度は,乳幼児期と児童・青年期の調査の最終分析を行なった。 乳・幼児期の調査では,絵本の読み合い,読み聞かせ活動における子とその母のかかわり方および,そこでの子の絵本に対する取り組み方と子の発達との関連、その発達変化について検討した。その結果,乳児・幼児ともに,親の「子の興味・関心の尊重と誘発」と「社会・情動・認知・想像力の獲得への発達期待」において,子の「絵本への興味と集中」や「絵本への積極的関わり」に対する有意な関係性が明らかとなった。また,そうした子の行動は,自身の「対人関係能力」・「好奇心の旺盛さ」・「認知・情動的学習能力」・「対人的学習能力」に対する有意な関係性が見られ,「親のかかわり方」⇒「子どもの絵本への取り組み方」⇒「子どもの発達」といったプロセスを示唆する関係性が明らかとなった。 児童期・青年期においても絵本(本)を介した対人関係のあり方が,児童・青年の読書活動のあり方および認知・社会的発達に関連することが明らかとなった。具体的には,読書をとりまく環境要因,中でも家庭における親子間の役割交代を含む「読み聞かせ(読み合い)経験」や,親子間,生徒間の「読書経験の共有」,また,「家族が読書をする姿を見る」ことなど,読書活動を媒介とした個人間(読み聞かせ役の役割交代)-場面間(家庭と学校間)の相互的な『越境的交流』が,子の感情移入,精読志向といった本の読み方,読書の効果感の高まりに関連すると同時に,総合的な認知・社会的発達指標にも関連することが示された。
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