1 「ネットいじめ」に関する調査:中学・高校生のスマートフォン利用者増加に伴い、インターネット上の「いじめ」問題が深刻化しつつある。また、対面における「いじめ」に比べ、インターネット上における「いじめ」は、被害者と加害者との相関関係が強いという報告もあり、循環型の「いじめ」は、インターネット上で生起する可能性がより高い。そこで、本研究で取り上げた拒絶感受性が、中学・高校生の「ネットいじめ」に関連するのかどうかを検証した。具体的には、中学・高校生を対象に、「ネットいじめ」被害・加害、および拒絶感受性に関する匿名の質問紙調査を行い、約800人のデータを分析した。その結果、対面の「いじめ」被害・加害にみられたのと同様に、「拒絶に対する不安・過敏」「対人関係の不安定感」の2因子が、「ネットいじめ」被害に影響を与え、「ネットいじめ」被害が、「拒絶に対する怒り・反撃」因子に影響を与え、この因子が「ネットいじめ」加害に影響を与えることを示唆する結果が得られた。こうした結果が得られたことから、対面場面における「循環型いじめ」だけでなく、インターネット上における「循環型ネットいじめ」にも、拒絶感受性が関連する可能性があることが示唆された。 2 拒絶感受性尺度に関する論文作成:拒絶感受性を簡便に測定することが可能な小学校高学年用・中学生用・高校生用の尺度をそれぞれ作成し、投稿する準備を進めている。 3 「循環型いじめ」予防・解消に向けた授業実践:高校生を対象に、新たな仲間づくりを促進し、拒絶感受性を低減することを目指したグループ・ワーク形式を取り入れた授業実践を、異なるクラスから選択科目の授業に集まった生徒約40名を対象に実施した。シングルセッションの授業などの理由で、拒絶感受性を低減するなどの十分な成果は得られ無かったが、今後、新たな実践を企画するためのノウハウを獲得することができた。
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